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ピコレーザーのシミへの効果と費用は?種類別の違いとダウンタイムを解説
2026.09.04
ピコレーザーでシミは消える?費用と効果を、確認できた一次情報だけで整理します

鏡を見るたびに気になる頬のシミ。
「ピコレーザーなら消えるらしい」と検索したものの、クリニックごとに説明も料金体系も違って、判断がつかないという声をよく聞きます。しかも情報の多くは施術ページの宣伝文で、どこまでが確かめられた話なのかが見えにくいのが実情です。私の患者様もやっとの思いで当院まで辿り着く方が多いです。
今日は、日本レーザー医学会誌に掲載された論文、日本皮膚科学会などがまとめた診療指針、大学病院の疾患解説、消費者庁の公的情報だけを根拠に、ピコレーザーのシミ治療を整理したものです。誇張も、根拠のない相場感の提示もしません。読んだあとに「自分のシミは相談する価値があるか」を自分で判断できる状態を目指します。
- ピコレーザーがシミに作用する仕組みと、従来のQスイッチ(ナノ秒)レーザーとの違い
- 老人性色素斑・肝斑・あざで、期待できることが大きく変わる理由
- ダウンタイムと副作用として実際に報告されている内容
- 費用が自由診療になる理由と、総額を見積もるときに抜けやすい項目
- 契約前に確認したいチェックリストと、消費者庁が定める解約ルール
ピコレーザーとは(仕組みと特徴)

「ピコ秒」が意味すること
ピコ秒は1兆分の1秒です。
レーザーが光を出している時間がこれほど短くなると、体への作用の性質そのものが変わります。日本レーザー医学会誌に掲載された大城貴史氏らの論文(2024年)は、ナノ秒レーザーが「光熱的作用」を使うのに対し、ピコ秒レーザーは「光機械的作用」により低いエネルギー密度で標的組織を粉砕できると説明しています。
熱で色素を壊すのではなく、衝撃で砕くイメージに近い作用です。周囲の組織に伝わる熱が抑えられるため、反応の出方が穏やかになりやすいという理屈になります。ただし理屈が有利であることと、すべての症状で結果が上回ることは別の話です。
国内での承認状況
ピコ秒レーザーは、国内で医療機器としての承認を受けた機種が流通しています。たとえば当院で取り扱っているシネロン・キャンデラ社のPicoWay(ピコセカンドKTP/Nd:YAGレーザー)は、承認番号23000BZX00270000で、使用目的は「深在性及び浅在性色素性病変の治療並びに刺青の除去」と定められています。一般的名称はネオジミウム・ヤグレーザー、クラスIIIの高度管理医療機器です。
ここで押さえておきたいのは、承認された使用目的の範囲です。
色素性病変の治療と刺青除去が承認の対象であり、肌質そのものの改善を狙った照射など、この範囲を超える使い方をする場合は適応外使用にあたります。カウンセリングでは、その施術が何を目的とした照射なのかを医師に確認してください。
照射モードによって狙う層が変わる
同じ機器でも、出力とスポットの当て方で役割が変わります。濃い1つのシミに狙いを定めて強めに当てる方法、顔全体に弱い出力を重ねる方法、点状に照射して皮膚の反応を促す方法が代表的です。どのモードを選ぶかは、シミの種類と深さの診断で決まります。
シミへの効果:種類によって期待できることが変わる

老人性色素斑(日光黒子)
顔や手の甲にできる、いわゆる年齢とともに増える茶色いシミです。慶應義塾大学病院の医療情報サイトKOMPASは、日光黒子を「長年、日に当たった部分の皮膚に生じる」ものとし、40歳頃からできはじめて年齢とともに増加すると解説しています。
治療についてKOMPASは「レーザー治療が有効です」と明記しています。ピコ秒レーザーに関しては、宮田成章氏の論文(日本レーザー医学会誌、2024年)が「老人性色素斑では薄い色調に有効で、かつ炎症後色素沈着の発生率が低い」と述べています。薄いシミに対して選択肢が広がった、という位置づけです。
肝斑
頬に左右対称に広がるタイプのシミで、強い刺激で悪化しやすい性質があります。同じく宮田氏の論文(2018年)は、パルス幅の短いピコ秒レーザーを用いたトーニング治療を「肝斑に有効な治療法の一つ」とし、主に1,064nmの波長が使われると記載しています。
一方で同論文は「光音響効果の影響などまだ未解明の部分も多い」とも指摘しています。効くと断言できる段階ではなく、診断と出力設定を慎重に行う前提の治療だと理解してください。内服や外用との組み合わせを含めた計画が現実的な進め方です。
あざ(太田母斑・異所性蒙古斑)
真皮の深い層に色素があるタイプです。尾本大輔氏と西堀公治氏の報告(日本レーザー医学会誌、2023年)では、339psのピコ秒Nd:YAGレーザーで16名を治療し、異所性蒙古斑11例のうち2例が75〜99%の改善、8例が50〜75%の改善を示しました。太田母斑5例では3例がgood、1例がfair、1例がpoorという結果です。
同報告は、乳幼児での治療効果が高く、成人では効果にばらつきが見られたとしています。年齢や病変の深さで見通しが変わることを示す内容です。
ピコ秒レーザーとナノ秒(Qスイッチ)レーザーの比較

「新しいほうが優れている」と考えたくなりますが、報告されている内容はもう少し繊細です。大城氏らの論文(2024年)の記載を整理すると次のようになります。
| 比較項目 | ピコ秒レーザー | ナノ秒(Qスイッチ)レーザー |
|---|---|---|
| 主な生体作用 | 光機械的作用(低いエネルギー密度で標的を粉砕) | 光熱的作用 |
| 真皮内の色素病変への褪色効果 | ほぼ同等 | ほぼ同等 |
| 炎症後色素沈着・紅斑 | 照射方法の工夫により期間短縮が報告されている | 従来からの標準的な経過 |
| 表皮内の色素病変 | 適切なエンドポイント設定で副作用・ダウンタイムが少なく、薄い老人斑に有効とされる | 標準治療として位置づけられている |
| 痂皮(かさぶた)形成 | 軽減できるとされる | 生じやすい |
真皮の色素病変については、褪色効果そのものはほぼ同等と記載されています。ピコ秒レーザーの利点として挙げられているのは、色素沈着や紅斑の期間短縮と治療回数の削減です。表皮内の病変では、ナノ秒レーザーが標準治療という位置づけが維持されています。
よくある誤解と、見落としがちなポイント
誤解1:ピコ秒レーザーはナノ秒レーザーの完全な上位互換
宮田氏の論文(2024年)は、ピコ秒レーザーが有効である一方で「従来のナノ秒レーザーより全てが優れているわけではない」という課題を明示しています。機種の世代ではなく、シミの種類と深さに合った波長・出力を選べるかどうかが結果を左右します。
また尾本氏らの報告では、Qスイッチレーザーでの治療歴がある2例において、ピコ秒レーザーでは色素沈着も色素脱失も生じなかったと記載されています。過去の治療歴は、次の選択を考える材料になります。
誤解2:茶色い斑点はすべて同じ「シミ」
KOMPASは、日光黒子の鑑別対象としてメラノーマの初期病変である悪性黒子を挙げ、放置すると脂漏性角化症という老人性のいぼに進展することがあると記載しています。見た目が似ていても、必要な処置は別物です。
自己判断で色だけを薄くしてしまうと、診断の手がかりを失うおそれがあります。初回は必ず、医師による診断を受けてから照射の可否を決めてください。ダーモスコピーなどの検査で見分けられる場合もあります。
ダウンタイムと副作用

ピコ秒レーザーは痂皮形成を軽減できるとされていますが、反応がゼロになるわけではありません。尾本氏らの報告では、異所性蒙古斑の2例で色素沈着を認め、うち1名はびらんとなったことが記されています。実際に合併症は起こり得ます。
照射後は、赤み、ヒリつき、テープでの保護、色素沈着といった経過をたどる可能性があります。特に炎症後色素沈着は、一度濃くなってから時間をかけて薄れていく経過をとることがあり、途中で不安になりやすい局面です。経過の見通しを事前に聞いておくと、判断に迷わずに済みます。
紫外線対策と処方された外用薬の継続が、経過を左右します。仕事や予定の都合でテープが貼れない時期がある場合は、その事情も含めてスケジュールを組んでください。
費用の目安(自由診療であることの意味)
なぜ保険が効かないのか
KOMPASは日光黒子について「保険適用がありませんので自費診療となります」と明記しています。老人性色素斑を薄くする目的の照射は、公的医療保険の対象外です。全額自己負担になります。
一方で、あざに対する治療は扱いが異なります。PicoWayの製品情報によれば、皮膚レーザー照射療法として保険適用の対象となるのは太田母斑・異所性蒙古斑・外傷性色素沈着症で、「単なる美容を目的とした場合は算定できない」とされています。同じ機器でも、対象となる病変によって保険診療か自由診療かが分かれます。
総額で見るときに抜けやすい項目
本記事では特定の金額を示しません。料金は医療機関ごとに設定されるもので、確認できない数字を「相場」として書くべきではないためです。代わりに、見積もりを取るときに聞き逃しやすい項目を挙げます。
- 照射料が1か所単位か、面積単位か、全顔単位か
- 初診料・カウンセリング料・再診料が別建てかどうか
- 麻酔クリームや局所麻酔の費用の扱い
- 照射後の外用薬・保護テープ・遮光剤が料金に含まれるか
- 効果が不十分だった場合の追加照射の条件と費用
- 回数セットの場合、途中でやめたときの精算方法
1回あたりの表示価格だけで比べると、実際に支払う総額とずれます。何回でいくらになるのか、追加が発生する条件は何かまで含めて確認してください。
契約前に知っておきたい解約ルール
消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、美容医療は特定継続的役務提供の対象役務です。期間が「1月を超えるもの」で、金額が「5万円を超えるもの」が要件になります。回数セットの契約は、この条件に該当する場合があります。
該当する契約では、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録によりクーリング・オフができます。さらに同ガイドは、クーリング・オフ期間の経過後も将来に向かって中途解約ができる(請求可能額に上限あり)と記載しています。契約書面は必ず受け取り、保管してください。
向いている人・向かない人
ピコ秒レーザーが選択肢になりやすいのは、次のような方です。
- 境界がはっきりした老人性色素斑があり、診断で他の疾患が否定されている
- 薄い色調のシミで、痂皮やダウンタイムをできるだけ抑えたい
- 過去にQスイッチレーザーを受け、経過に納得できなかった
- あざ(太田母斑・異所性蒙古斑)で、保険診療の対象になり得る
逆に、慎重な判断が要るのは次のような場合です。妊娠中・授乳中の方、光線過敏症の既往がある方、シミの正体が確定していない方は、まず診断と全身状態の確認が先になります。肝斑が混在している場合も、出力設定を誤ると悪化のリスクがあるため、経験のある医師のもとで計画を立ててください。
カウンセリングで確認したいチェックリスト
- 自分のシミの診断名は何か(老人性色素斑・肝斑・脂漏性角化症・あざ など)
- 悪性の可能性を除外するための診察や検査は済んでいるか
- 使用する機器名と、その機器の承認された使用目的の範囲
- 今回の照射が承認範囲内か、適応外使用にあたるか
- 想定される照射回数と間隔、完了までの期間
- ダウンタイムの具体的な内容と、テープ保護が必要な日数
- 炎症後色素沈着が出た場合の対応と追加費用
- 総額と支払い方法、中途解約時の精算ルール
複数の治療を組み合わせる提案を受けたときは、それぞれが何を狙った施術なのかを分けて説明してもらってください。ピコレーザーやPicoWayを含む色素治療の相談先を探している方は、こうした確認事項を持参すると話が早く進みます。
よくある質問
- Q. 1回の照射でシミは消えますか
- シミの種類、色の濃さ、深さによって必要な回数は変わります。大城氏らの論文では、ピコ秒レーザーが治療回数の削減につながると記載されていますが、回数がゼロになるという意味ではありません。何回を想定するかは、診察のうえで医師に確認してください。
- Q. 保険は使えますか
- 老人性色素斑(日光黒子)に対するレーザー治療は保険適用がなく自費診療になると、慶應義塾大学病院KOMPASが明記しています。一方、太田母斑・異所性蒙古斑・外傷性色素沈着症は皮膚レーザー照射療法として保険診療の対象になり得ます。まず診断名を確定させることが出発点です。
- Q. 肝斑があってもピコレーザーは受けられますか
- 宮田氏の論文は、ピコ秒レーザーによるトーニング治療を肝斑に有効な治療法の一つとしつつ、未解明の部分も多いと指摘しています。肝斑は刺激で悪化することがあるため、出力設定と併用療法を含めた計画が前提になります。自己判断での選択は避けてください。
BIOTOPE CLINIC 白金へのご相談
気になる症状・治療法は、形成外科専門医・苅部医師にカウンセリングでご相談ください。お一人おひとりの肌・お悩みに合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
所在地: 東京都港区白金 / 監修: 苅部 淳 医師(形成外科専門医)
まとめ
ピコレーザーは、光機械的作用によって従来より低いエネルギー密度で色素を粉砕できる医療機器です。真皮の色素病変への褪色効果はナノ秒レーザーとほぼ同等と報告されており、優位性として挙げられているのは炎症後色素沈着や紅斑の期間短縮、治療回数の削減、痂皮形成の軽減です。薄い老人性色素斑では有効性が示されています。
ただし、すべての面でナノ秒レーザーを上回るわけではないことも、同じ学会誌の論文がはっきり述べています。費用は老人性色素斑では自由診療となり全額自己負担、あざでは保険診療の対象になり得るという違いもあります。金額そのものより、診断が正しいか、その機器の承認範囲内の使い方かを先に確かめてください。
茶色い斑点の正体を見極めるところから治療は始まります。気になる方はカウンセリングでご相談ください。麹町皮膚科•形成外科クリニック、BIOTOPE CLINIC 白金(港区白金)でもご相談いただけます。
References
- 大城貴史・佐々木克已・大城俊夫『色素性病変に対するピコ秒レーザー治療とナノ秒レーザー治療についての考察』日本レーザー医学会誌 45巻1号 59-65頁、2024年 出典
- 宮田成章『メラニン色素性病変に対するピコ秒レーザーの活用方法』日本レーザー医学会誌 45巻1号 39-45頁、2024年 出典
- 宮田成章『肝斑に対するトーニング治療:1,064 nm(532 nm, 785 nm)ピコ秒レーザー』日本レーザー医学会誌 39巻2号 137-140頁、2018年 出典
- 尾本大輔・西堀公治『ピコ秒発振レーザーを用いた真皮メラノサイトーシスの治療効果と合併症の検討』日本レーザー医学会誌 44巻2号 77-82頁、2023年 出典
- 慶應義塾大学病院『KOMPAS 医療・健康情報サイト:日光黒子』2021年 出典
- 公益社団法人日本皮膚科学会・一般社団法人日本形成外科学会・一般社団法人日本美容皮膚科学会ほか『美容医療診療指針(令和3年度改訂版)』2022年 出典
- 公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ『美容医療診療指針(令和三年度改訂版)』2022年 出典
- 消費者庁『特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド』 出典
- シネロン・キャンデラ株式会社『PicoWay(ピコセカンドKTP/Nd:YAGレーザー)製品情報(医療機器製造販売承認番号 23000BZX00270000)』 出典
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- “ピコレーザー最高峰”PicoWayとは?
監修医師
苅部 淳
Karibe Jun
理事長
略 歴
資 格
受 賞
苅部 淳 理事長の発信
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