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ピル・妊活中のトラネキサム酸|飲んでいい?休薬すべき?条件別に医師が解説

2026.10.20

肝斑の治療でトラネキサム酸(トランサミン)を勧められたけれど、いまピルを飲んでいる。妊活を始めたばかりで、妊娠中も服用していいのかわからない。授乳中で薬を選びたい

—BIOTOPE CLINIC 白金のカウンセリングでも、この4つの場面(ピル併用/妊活/妊娠中/授乳中)の相談は毎月のように寄せられます。トラネキサム酸は肝斑治療で広く使われる内服薬ですが、添付文書上は「血栓症があらわれるおそれのある患者」への慎重投与や、妊婦・授乳婦への「有益性投与」が明記されており、条件によっては内服を避け、外用や光治療に切り替える判断が必要です。

今日は、PMDA添付文書と日本産科婦人科学会の見解、および低用量ピル(OC/LEP)服用中のVTE(静脈血栓塞栓症)リスクの実データを整理したうえで、4つの場面ごとに「飲んでいいか/休薬すべきか/代替は何か」を、断定を避けて、条件別にお伝えします。

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最も重要なポイント

トラネキサム酸 ピル 妊活|この記事の要点(先に結論)
  • トラネキサム酸内服(トランサミン等)は、添付文書上「肝斑」の効能効果は記載されていない適応外使用です。処方は主治医の判断で行われます。
  • ピル(OC/LEP)服用中: 添付文書上は「併用禁忌」でも「併用注意」でもありません。ただし両剤とも血栓リスクに関わる作用機序を持ち、9.1.1「血栓症があらわれるおそれのある患者」への慎重投与の考え方に照らして、併用の可否は主治医と相談することが実務の基本です。
  • 妊活中: 妊娠が成立する可能性がある期間の内服は、原則、産婦人科と皮膚科の双方に相談したうえで、必要性が明確でなければ休薬する運用が一般的です。
  • 妊娠中: 添付文書は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」——いわゆる有益性投与です。美容目的の肝斑内服は原則行いません。
  • 授乳中: 添付文書は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討」。動物実験で乳汁移行が確認されており、美容目的の内服は原則行いません。
  • 内服を選べない/選ばない期間の代替として、外用トラネキサム酸(Dr.J+ TA Serum 2%等)、光治療、レーザー、ハイドロキノンや紫外線対策の組み合わせを、条件に応じて検討します。

トラネキサム酸内服と肝斑治療の現状

トラネキサム酸 ピル 妊活|トラネキサム酸内服と肝斑治療の現状

トラネキサム酸は「抗プラスミン剤」で、線溶系のプラスミンがフィブリンに結合するのを阻害することで、止血作用や抗炎症・抗アレルギー作用を示します(旭化成セラピューティクス「トラネキサム酸カプセル250mg『旭化成』」電子添文 2026年4月改訂 第2版)。

添付文書に記載されている効能効果は、全身性・局所性線溶亢進による出血傾向、湿疹・蕁麻疹・薬疹の紅斑や腫脹、扁桃炎・咽喉頭炎の咽頭痛、口内炎の口内粘膜アフター等です。「肝斑」は効能効果に含まれておらず、肝斑目的の投与は保険適用外の適応外(オフラベル)使用にあたります。実務上は、主治医が患者の症状・全身状態・併用薬などを踏まえて処方の可否を判断しています。

肝斑治療の基本的な仕組みや、市販薬との違いについては、姉妹記事の肝斑治療にトラネキサム酸を選ぶ理由|効果がでるまでの期間と副作用・市販薬との違いで詳しく整理しています。あわせて、内服の適切な服用期間や中止のタイミングについては、姉妹記事「トラネキサム酸の内服はいつまで続ける?中止基準と血栓リスク」(近日公開)で解説しています。

ピル(OC/LEP)と併用しても大丈夫?—添付文書と実務の考え方

トラネキサム酸 ピル 妊活|ピル(OC/LEP)と併用しても大丈夫?——添付文書と実務の

添付文書上、経口避妊薬は「併用禁忌・併用注意」に明記されていない

トラネキサム酸の添付文書(トラネキサム酸カプセル250mg「旭化成」2026年4月改訂 第2版・トラネキサム酸錠250mg「三恵」2024年1月改訂 第1版)では、併用禁忌は「トロンビン」のみ、併用注意は「ヘモコアグラーゼ」「バトロキソビン」「凝固因子製剤(エプタコグアルファ等)」の3剤で、経口避妊薬(OC/LEP)は明記されていません。

したがって「ピルとトラネキサム酸は併用禁忌」と断定的にお伝えするのは正確ではありません。一方で、添付文書の9.1.1では「血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)及び血栓症があらわれるおそれのある患者 — 血栓を安定化するおそれがある」と、慎重投与の考え方が明記されています。

低用量ピルはVTEリスクを3〜5倍に上げる

日本産科婦人科学会編『低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)』では、OC使用によりVTE(静脈血栓塞栓症)リスクは3〜5倍増加すると示されています。国内でも「平成26年8月から平成27年1月までの間にLEP製剤による国内3症例の死亡例が報告」されており、月経困難症・避妊等での使用でも発症リスクは無視できません(椎名昌美・保田知生「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)にて静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した1例」心臓 2015; 47(7): 907-909)。

同論文では、「発症頻度としては、服用開始から3カ月以内が多く、その後リスクは減少し、4-5年目で一定の頻度に落ち着く」「エストロゲンやプロゲスチン単剤使用によるVTE頻度は両剤併用と比較すると低いが、閉経前のホルモン補充療法において複合製剤のVTE頻度は高い」とも報告されています。

「作用機序が反対に見えても、リスクは重畳しうる」の医学的な意味

ピル(OC/LEP)はエストロゲンにより肝臓での凝固因子合成を促進し、凝固系を亢進させる方向に働きます。一方、トラネキサム酸はプラスミンの働きを抑えて線溶系を阻害します。「凝固系亢進」と「線溶系抑制」は、いずれも血栓が形成・安定化しやすい方向のバランス変化で、片方だけでも背景リスクが上がるところに、もう片方が重なることは、9.1.1の慎重投与の観点で個別に評価する必要があります。

市販の肝斑OTC「トランシーノEX」のメーカー(第一三共ヘルスケア)も、公式FAQで「経口避妊薬(ピル)は血栓症を起こすおそれがあります。血栓症を起こすおそれのある人は、トラネキサム酸によって血栓溶解が抑制されるため、注意が必要です。服用前に、医師または薬剤師に相談されることをおすすめします」と案内しています(第一三共ヘルスケア トランシーノEXよくあるご質問)。

実務では「代替を先に検討する」ことが多い

BIOTOPE CLINIC 白金では、ピル(OC/LEP)を継続中の方で肝斑治療の希望がある場合、原則として内服トラネキサム酸の処方は行わず、外用トラネキサム酸(Dr.J+ TA Serum等)、光治療、レーザーとの組み合わせで方針を組み立てます。ピル自体の使用可否・変更は、産婦人科の主治医の領分ですので、当院の判断で減薬・中止を提案することはありません。

ピル併用時のリスクファクター(重畳する要素)

添付文書・上記論文・ヤーズフレックス等のOC添付文書で禁忌・慎重投与に挙げられている因子を整理すると、以下が重畳するほど個別リスクが上がると考えられます。

  • 年齢(35歳以上)
  • 喫煙(特に1日15本以上)
  • 肥満(BMI高値)
  • 血栓症の既往(本人・第一度近親者)
  • 手術前後・長期臥床・長時間座位(長距離フライト等)
  • 抗リン脂質抗体症候群、プロテインC/S欠乏、アンチトロンビン欠乏、第V因子ライデン等の血栓性素因
  • 脱水傾向

これらが重ならないほど個別リスクは低くなりますが、重なる場合ほど「トラネキサム酸の内服は避け、外用や光治療への切替を優先」する判断が実務では多くなります。

妊活中はどう考える?——「妊娠成立の可能性」を軸に

トラネキサム酸 ピル 妊活|妊活中はどう考える?——「妊娠成立の可能性」を軸に

妊活中は原則、産婦人科と皮膚科の双方に相談

妊活中は、妊娠が成立する可能性がある期間です。添付文書には妊娠中の項目(9.5)として「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と明記されており、美容目的の肝斑内服は、この基準を満たしにくいのが実務の判断です。妊娠が成立してから中止する運用も可能ですが、「妊活を始めた段階で内服を中止する」ほうが、心理的な負担も薬剤リスクの心配も減らせます。

BIOTOPE CLINIC 白金では、妊活を始めた方の肝斑相談では、原則として内服は行わず、日中の紫外線対策(SPF30以上・PA+++以上)、摩擦回避、外用トラネキサム酸、必要に応じてハイドロキノン外用や光治療の慎重な選択で対応しています。妊活中の栄養サポートについてはオーソモレキュラー栄養療法の美容効果は?仕組みと肌改善を解説もあわせてご覧ください。

妊娠成立前後で判断が変わる場面

妊活の期間はしばしば長期にわたり、その間に排卵日と月経を繰り返します。トラネキサム酸内服を継続していると、次のような場面が出てきます。

  • 基礎体温や排卵検査で「今周期に妊娠している可能性」が高まったが、まだ判定日ではない期間
  • 不妊治療で採卵・移植を控えている期間
  • 体外受精・胚移植後の妊娠判定待ちの期間

これらの期間は、産婦人科の主治医と連携して、内服の要否を判断することが安全です。妊娠判定前に内服を中止しておくと、判定後の意思決定が単純になります。

妊娠中はどう扱う?—添付文書は「有益性投与」

トラネキサム酸 ピル 妊活|妊娠中はどう扱う?——添付文書は「有益性投与」

添付文書9.5 妊婦の原文

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

これは「妊娠中に飲んでもよい」の意味ではなく、「治療上の有益性が明確で、危険性を上回ると医師が判断できる場合に限って投与する」ことを指します。出血傾向のコントロールや、他に代替がない病態への使用が典型であり、美容目的の肝斑内服はこの基準を満たしにくいのが実務です。

妊娠中の肝斑(妊娠性肝斑)への現実的な対応

妊娠中はエストロゲン・プロゲステロンの上昇により、肝斑が新たに出現・悪化しやすくなります(妊娠性肝斑)。出産後、ホルモンレベルが落ち着くにつれて自然に改善する例も多く、妊娠中は「積極的な色素治療は行わず、悪化予防に徹する」のが皮膚科・美容皮膚科の一般的な姿勢です。

妊娠中は以下を軸に対応します。

  • 日中の紫外線対策(SPF30以上・PA+++以上、テクスチャは白浮きしない現代型を選択)
  • 洗顔・スキンケアでの摩擦回避
  • 睡眠・食事・ストレスケアなどの生活習慣サポート
  • 症状が強く、医師が必要と判断した場合の外用剤(妊娠中の外用剤選択は主治医判断)

妊娠中はハイドロキノン、レチノイド(トレチノイン)、内服トラネキサム酸などの積極的な色素治療は原則として避けます。外用でも、妊娠中の使用については主治医と相談することが基本です。

産褥期はVTEハイリスク期間

産褥期(分娩後6週間まで)は非妊娠時よりVTE発症率が高く、特に分娩後48〜72時間以内が最もリスクが高いとされています(『産婦人科診療ガイドライン産科編2023』日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会)。

トラネキサム酸の添付文書でも、9.1.3「術後の臥床状態にある患者及び圧迫止血の処置を受けている患者 — 静脈血栓を生じやすい状態であり、本剤投与により血栓を安定化するおそれがある。

離床、圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例が報告されている」と、術後臥床時の慎重投与が明記されています。産褥期は生理学的に「凝固系亢進+活動性低下」が重なる時期で、この記載の考え方が広く当てはまります。したがって産褥期の美容目的トラネキサム酸内服は、原則として控える判断が実務では多いです。

授乳中の扱い—添付文書と乳汁移行データ

添付文書9.6 授乳婦の原文

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

2024〜2026年に改訂された現行の電子添文では、以前の「授乳中の婦人には投与しないことが望ましい」型の記載から、「授乳の継続又は中止を検討」という、医師とご本人が個別に判断する形の表現に変わっています。ただし、これは「授乳中に自由に飲んでよい」という意味ではありません。

添付文書16.3(分布)には、動物実験(マウスに14C標識トラネキサム酸を経口投与)で「大部分の臓器において投与1〜2時間後に最高濃度を示し、組織内分布は、肝、腎、肺、膵で高く、子宮、脾、心、筋肉がこれに次ぎ、脳では低かった」と記載されており、乳汁移行の可能性は否定できません。

授乳中の実務判断

美容目的の肝斑内服は、授乳期間中は原則として行わず、離乳後に再開する判断が実務では多くなります。BIOTOPE CLINIC 白金では、授乳中の方の肝斑相談も、外用・光治療・スキンケアで対応する方針を基本としています。

授乳中に他科(婦人科・耳鼻科・内科等)でトラネキサム酸を処方された場合の是非は、その処方医とご相談ください。

条件別 早見表——「飲んでいい/慎重/避ける」の目安

これはあくまで一般的な整理で、最終判断は必ず主治医と行ってください。ピル・妊活・妊娠・授乳のいずれも、個別の背景で判断が変わります。

状況 内服の扱い(実務での一般的な傾向) 代替アプローチ
ピル(OC/LEP)服用中・血栓リスク因子少ない 個別リスク評価のうえ、内服は慎重に検討。実務では代替を優先することが多い。 外用トラネキサム酸、光治療、日焼け止め、ハイドロキノン外用
ピル服用中・血栓リスク因子多い(喫煙・肥満・血栓歴・35歳以上等) 内服は原則見送り。産婦人科と情報共有のうえ判断。 外用、光治療、生活習慣指導
妊活中(妊娠成立の可能性あり) 内服は原則見送りが実務で多い。妊活開始時に休薬する運用が判断を単純化する。 外用、生活習慣、栄養サポート
妊娠中(妊娠性肝斑を含む) 美容目的は原則見送り。有益性が明確な場合のみ主治医判断で投与(添付文書9.5)。 紫外線対策、摩擦回避、生活習慣。外用薬は主治医判断。
産褥期(分娩後6週間) VTEハイリスク期間のため原則見送り。 紫外線対策、外用は主治医判断
授乳中 美容目的は原則見送り。離乳後に再開検討。 紫外線対策、外用トラネキサム酸(主治医と相談のうえ)
ピル・妊活・妊娠・授乳のいずれにも該当しない 血栓リスク因子・全身状態を評価のうえ、通常の適応判断。 症例に応じて内服・外用・処置を組み合わせ

ピル(OC/LEP)自体の使用可否・種類変更は、産婦人科の領分です。BIOTOPE CLINIC 白金では、ピル継続の是非を提案することはありません。肝斑治療側で、内服の可否や代替を組み立てるかたちで対応しています。

内服を選べない/選ばない期間の代替アプローチ

1. 外用トラネキサム酸(2%製剤)—全身循環への影響が小さい

外用のトラネキサム酸は、内服と異なり全身循環に入る量が少なく、血栓リスクを回避しやすい選択肢です。厚生労働省は、規定濃度以内のトラネキサム酸を医薬部外品の美白有効成分として認可しており、複数の皮膚科臨床試験で、2%外用トラネキサム酸の12週使用による肝斑スコア(mMASI)の改善が報告されています(小規模試験・報告により結果は幅があります)。

BIOTOPE CLINIC 白金では、苅部院長が開発した2%トラネキサム酸美容液「Dr.J+ TA Serum」を、内服が選べない期間の代替や休薬中のケアとして案内しています。処方の外用剤とホームケアを組み合わせることで、色素沈着の悪化予防と、内服中止後の管理を両立しやすくなります。

内服を選べない期間の外用の柱

Dr.J+ TA Serum(2%トラネキサム酸美容液)

妊活中・ピル併用・血栓リスク・休薬中で内服が選べない/選ばない場面のために、苅部院長が2%トラネキサム酸で書き下ろした美容液です。処方の外用剤やホームケアと組み合わせて、色素沈着の悪化予防と継続的な管理をサポートします。

※妊娠・授乳中は、外用剤も含めて、まずは産婦人科・皮膚科の主治医とご相談ください。外用剤の全身への影響は内服より小さいものの、「絶対に安全」と断定できるものではありません。

2. 光治療(IPL)・レーザー

肝斑は熱刺激で悪化しうるため、レーザー治療は種類・出力の選択が重要です。フォトフェイシャル(IPL)は、色素沈着の全体的なトーンアップに使われますが、肝斑への使用は慎重な出力設定が前提です。フォトフェイシャルは効果がない?その理由や効果的に受ける方法を解説で仕組みと注意点を整理しています。

ピコレーザーは、シミ・肝斑ともに使用実績がありますが、肝斑ではトーニング(低出力設定)が基本です。ピコレーザーのダウンタイムはどのくらい?化粧などアフターケアも解説もあわせてご覧ください。妊娠中・授乳中はレーザー・光治療の希望があっても、原則として離乳後まで見送る判断が実務では多くなります。

シミ・肝斑・くすみをどう見分け、治療をどう組み立てるかは、シミの種類と見分け方は?老人性色素斑・肝斑の特徴と治療法まとめで全体像を整理しています。

3. 美白点滴・栄養サポート

ビタミンCやトラネキサム酸配合の点滴・注射は、肝斑への効果を目指すというより、日常の抗酸化サポートの位置付けで案内されることが多い治療です。美白点滴の効果と頻度は?何回で変化を実感できるか解説で仕組みと頻度目安を整理しています。ピル・妊活・妊娠・授乳中の可否は成分により異なりますので、事前にご相談ください。

4. 生活習慣とホームケア

  • SPF30以上・PA+++以上の日焼け止めを毎日、屋内でも塗る
  • 物理的な摩擦(こする洗顔・タオル・マッサージ)を減らす
  • 保湿でバリア機能を維持
  • 睡眠と食事のリズムを保つ
  • 禁煙・節酒(血栓リスク因子の管理)

これらは内服・外用・処置のいずれを選ぶ場合でも、肝斑管理のベースになります。

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所在地: 東京都港区白金 / 監修: 苅部 淳 医師(形成外科専門医)

よくある質問

Q. ピルを飲んでいますが、市販の肝斑OTC(トランシーノ等)は飲んでいいですか?

A. 市販薬メーカー(第一三共ヘルスケア)は、公式FAQで「経口避妊薬(ピル)は血栓症を起こすおそれがあります。血栓症を起こすおそれのある人は、トラネキサム酸によって血栓溶解が抑制されるため、注意が必要です。服用前に、医師または薬剤師に相談されることをおすすめします」と案内しています。市販薬でも、購入前に薬剤師・医師にご相談ください。

Q. 妊娠に気付かず内服を続けていました。どうすればいいですか?

A. まずは処方医(または産婦人科)に連絡してください。トラネキサム酸の添付文書9.5は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」との記載で、催奇形性を示す明確なデータが示されているわけではありません。パニックにならず、状況を主治医と共有し、今後の内服の要否と妊娠経過のフォローを決めてください。

Q. 授乳中の一時的な服用(例:歯科での抜歯後止血)は、断乳が必要ですか?

A. 現行の添付文書9.6は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討」と、個別判断を促す表現です。処方医と、必要な場合は小児科・産婦人科とも情報共有して、投与量・期間・授乳のタイミングを含めて決めてください。

Q. 妊活を始めたいのですが、内服はいつまでに止めればいいですか?

A. 「妊活開始のタイミングで中止しておく」のが判断を単純化する選択です。トラネキサム酸は連日内服で血中濃度が定常状態になる薬ですが、半減期はおよそ3時間程度と長くはなく、内服中止後に体内から比較的速やかに減っていきます。ただし個別の疾患管理(月経過多への処方等)がある場合は、処方医と相談のうえで中止時期を決めてください。

Q. ピルを止めれば、トラネキサム酸内服は問題なく再開できますか?

A. ピル中止後の凝固系の変化は数週間〜数カ月かけて元に戻るとされ、ピル中止直後の再開が「明確に安全」と言い切れるデータは限定的です。血栓症の既往や家族性の血栓性素因、他のリスク因子の有無を含めて、担当医と相談してから再開時期を決めることをお勧めします。

まとめ

ピル・妊活・妊娠・授乳の4つの場面は、いずれもトラネキサム酸内服の判断が「通常時と同じ」ではなくなる場面です。トラネキサム酸の添付文書は、経口避妊薬を併用禁忌・併用注意には挙げていませんが、9.1.1の「血栓症があらわれるおそれのある患者」への慎重投与の考え方は、ピル使用者にも重ねて評価できます。妊娠中の投与は「有益性投与」、授乳中は「継続又は中止を検討」であり、いずれも美容目的の肝斑内服の基準を満たしにくいのが実務の判断です。

BIOTOPE CLINIC 白金では、内服を選ばない/選べない期間の代替として、外用トラネキサム酸(Dr.J+ TA Serum等)、光治療、レーザー、ハイドロキノン外用、栄養サポート、生活習慣のケアを組み合わせて、個別にご提案しています。ピルの継続・変更は産婦人科の主治医と、妊娠中・授乳中の全身管理も主治医と連携する形で進めていきましょう。

肝斑治療全体の仕組みは肝斑治療にトラネキサム酸を選ぶ理由|効果がでるまでの期間と副作用・市販薬との違いで整理しています。内服の服用期間・中止基準の詳細は、姉妹記事「トラネキサム酸の内服はいつまで続ける?中止基準と血栓リスク」(近日公開)もあわせてご覧ください。ご自身の状況に合わせて、内服・外用・処置の組み立てをカウンセリングでご相談いただけます。

References

  1. 旭化成セラピューティクス株式会社「トラネキサム酸カプセル250mg『旭化成』」電子添文(2026年4月改訂 第2版)
    https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068801.pdf
  2. 株式会社三恵薬品「トラネキサム酸錠250mg『三恵』」電子添文(2024年1月改訂 第1版)
    https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062447.pdf
  3. 椎名昌美・保田知生「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)にて静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した1例」心臓 2015; 47(7): 907-909
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/47/7/47_907/_pdf
  4. 日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」2005年
    (上記論文2の引用文献より)
  5. 第一三共ヘルスケア株式会社「トランシーノEXよくあるご質問 経口避妊薬(ピル)を服用していますが、トランシーノEXは服用できますか?」
    https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/support/faq/faq_transino-ex_q00012.html
  6. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2023」
    https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00801/
  7. PMDA「ヤーズフレックス配合錠 患者向医薬品ガイド」(2026年2月更新)
    https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/630004_2482011F2027_1_00G.pdf

※本記事は2026年9月時点の情報に基づき、BIOTOPE CLINIC 白金 苅部医師の監修のもとで作成しています。個別の医学的判断は、必ず担当医とご相談ください。添付文書は改訂されることがあるため、最新版はPMDAサイトでご確認ください。

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監修医師

苅部 淳 形成外科専門医・BIOTOPE CLINIC 白金 理事長

苅部 淳

Karibe Jun

理事長

略 歴

順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
2019年 麹町皮ふ科・形成外科クリニック 開院
2021年 BIOTOPE CLINIC 白金 開院

資 格

日本形成外科学会 形成外科専門医
日本抗加齢学会 専門医
日本医師会認定産業医
アラガン社 ボツリヌス注射・ヒアルロン酸 VST認定医

受 賞

東京大学形成外科 最優秀賞(2016年)
日本形成外科学会 優秀賞(2018年)
ASPS(アメリカ形成外科学会)優秀演題発表(2018年)

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