- 【麹町皮ふ科・形成外科クリニック】(市ヶ谷/半蔵門/永田町/千代田区)
- 美容皮膚
- しわ
- 額のボトックスの副作用は?眉毛下垂のリスクと国内承認状況を解説
- しわ
- お顔の治療
額のボトックスの副作用は?眉毛下垂のリスクと国内承認状況を解説
2026.09.05
額のボトックスを検討中の方が最初に気になること

おでこに横向きに走るシワが気になって、ボトックス注射を調べ始めた方は多いはずです。
同時に「眉毛が下がって不自然な顔になるのでは」「まぶたが重くなると聞いた」といった不安も出てきます。額は眉を持ち上げる筋肉が広がっている場所で、注射の設計しだいで見た目の印象が変わりやすい部位です。
この記事では、額へのボツリヌス毒素注射について、日本の承認状況、添付文書に記載された副作用、米国の添付文書で報告されている前額部の副作用データを整理します。数字はすべて公的資料で確認したものだけを載せています。
- 額(前額部)へのボトックスが日本ではどういう扱いなのか
- 添付文書に記載されている副作用と、その頻度区分
- 米国の添付文書に載っている前額部治療の副作用データ
- 打てない人(禁忌)と、再投与の間隔に関する決まり
- カウンセリングで確認しておきたい項目
額のボトックスとは何をしているのか

「ボトックス」は商品名、成分はA型ボツリヌス毒素
ボトックスは製剤の商品名で、有効成分はA型ボツリヌス毒素です。この成分は神経から筋肉へ伝わる信号をブロックし、注射した筋肉の動きを一時的に弱めます。効果は永続せず、時間の経過とともに戻ります。
美容目的で国内承認されている製剤は「ボトックスビスタ注用」です。眼瞼痙攣や痙性斜頸などの治療に使う「ボトックス注用」とは、同じ成分でも承認された使い道が分かれています。
おでこの横ジワと前頭筋
額の横ジワは、眉を持ち上げる前頭筋がくり返し収縮することで刻まれていきます。前頭筋は眉を上げる働きを担う筋肉なので、ここの動きを弱めるとシワは目立ちにくくなる一方、眉の位置にも影響が出ます。米国の添付文書が前額部の治療について「眉毛下垂の可能性を最小限にするため眉間と併せて治療すること」と指示しているのは、この構造上の理由からです。
見落としがちなポイント:日本で承認されている部位に額は入っていない

添付文書に書かれている効能・効果
ボトックスビスタ注用の添付文書(2026年8月改訂・第4版)では、効能・効果は次のとおりです。50単位製剤が「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺」と「65歳未満の成人における咬筋膨隆」、100単位製剤が「65歳未満の成人における咬筋膨隆」。前額部、つまり額は含まれていません。
同じ添付文書の「重要な基本的注意」には、承認された適応以外について「これら以外の適応には安全性が確立していないので絶対使用しないこと」と明記されています。額の横ジワへの注射は、国内では承認された使い方ではなく適応外使用にあたります。
2026年5月に前額部の適応追加が申請された
アッヴィ合同会社アラガン・エステティックスは2026年5月18日、成人に対する前額部の表情皺の適応追加について、国内の製造販売承認を申請したと発表しました。日本人成人を対象とした国内第III相試験と海外第III相試験のデータが根拠とされています。この記事の執筆時点(2026年9月)では審査中で、承認には至っていません。
米国では2017年から承認されている
米国の添付文書(2024年10月18日改訂)では、眉間・目尻に加えて前額部の表情皺、広頸筋のバンドが適応に含まれます。海外で承認されていることと、日本で承認されていることは別の話です。海外の承認をもって「国内でも認められた治療」と説明するのは誤りになります。
適応外使用で知っておきたい制度上の話
医薬品を適正に使ったにもかかわらず重い副作用が生じた場合に備えて、医薬品副作用被害救済制度があります。ただしPMDAは、給付の対象にならない場合として「医薬品等の使用目的・方法が適正であったとは認められない場合」などを挙げています。承認外の部位への使用がこれに該当するかは個別判断になりますが、制度が必ず使えるとは限らない点は理解しておきたいところです。
| 部位 | 日本(ボトックスビスタ注用) | 米国(BOTOX Cosmetic) |
|---|---|---|
| 眉間の表情皺 | 承認あり(65歳未満の成人) | 承認あり |
| 目尻の表情皺 | 承認あり(65歳未満の成人) | 承認あり |
| 額(前額部)の表情皺 | 承認なし(2026年5月18日に適応追加を申請、審査中) | 承認あり(眉間と併せて治療) |
| 咬筋膨隆(エラ) | 承認あり(65歳未満の成人、2026年8月に追加) | 記載なし |
| 広頸筋のバンド | 承認なし | 承認あり |
額のボトックスで報告されている副作用

米国添付文書の前額部データ
米国の添付文書には、前額部の臨床試験(前額部20単位+眉間20単位、実薬665例/プラセボ315例)で報告された副作用が載っています。頭痛が実薬9%・プラセボ5%、眉毛下垂が実薬2%・プラセボ0%、眼瞼下垂が実薬2%・プラセボ0%、皮膚のつっぱり感が実薬2%・プラセボ0%でした。
眉毛下垂と眼瞼下垂がプラセボでは報告されず実薬でのみ出ている点は、額まわりの注射で意識しておきたい部分です。数字としては大きくありませんが、起こりうる変化として説明を受けておく価値があります。
国内添付文書に記載された副作用
ボトックスビスタ注用の添付文書には、眉間・目尻・咬筋膨隆の治療で報告された副作用が頻度区分つきで載っています。額への使用データではありませんが、同じ成分を顔面に注射したときに何が起こりうるかの目安になります。
| 区分 | 1〜5%未満 | 1%未満 |
|---|---|---|
| 過剰な筋弛緩 | 眼瞼下垂 | 兎眼、顔面麻痺、局所筋力低下、咀嚼障害 |
| 眼 | 該当なし | 複視、霧視、羞明、流涙、眼痛、眼瞼浮腫 |
| 注射部位 | 注射部位疼痛 | 腫脹、出血斑、熱感、内出血 |
| 精神神経系 | 頭痛 | めまい、失神、感覚異常 |
| 皮膚 | 該当なし | 発疹、そう痒感、紅斑 |
重大な副作用
添付文書は重大な副作用として、ショック・アナフィラキシー・血清病、眼障害(角膜露出、角膜潰瘍など)、嚥下障害・呼吸障害、痙攣発作を挙げています。呼吸障害の頻度は0.02%と記載され、他は頻度不明です。
また、注射した筋肉から離れた部位に作用が及び、嚥下障害や肺炎が起きた報告、死亡例の報告があることも記載されています。頻度としてはまれですが、施術後に体調の変化を感じたときは自己判断せず施術を受けた医療機関に連絡してください。
眼瞼下垂を避けるための注意
添付文書は、上眼瞼挙筋の周囲への投与を避けること、皺眉筋へ注射する際は骨眼窩上隆起から1cm以上上方に投与することを求めています。注射の位置と深さの設計が、まぶたへの影響を左右します。額の場合も同じで、眉に近い位置へ広く入れるほど眉が下がる方向に働きます。
効果の出方、持続、再投与の間隔

国内第III相試験(眉間の表情皺)では、単回投与4週後の有効率が10単位群86.4%、20単位群88.6%と報告されています。効果の持続は眉間で平均13.3週(10単位群)から15.6週(20単位群)、目尻では中央値85日(12単位群)から95日(24単位群)でした。額のデータではない点は改めて申し添えます。
再投与について、添付文書は「症状再発の場合には再投与することができるが、3ヵ月以内の再投与は避けること」としています。短い間隔でくり返すと中和抗体ができて効きにくくなる可能性があるためです。効果が薄れてきた実感があっても、間隔を詰めるのは避けたいところ。
厚生労働省の通知(平成22年10月27日 薬食審査発第1027001号)は、複数の適応に同時投与しないことが望ましいとし、やむを得ず同時に投与する場合は3か月間のA型ボツリヌス毒素累積投与量を360単位までとするよう示しています。額と眉間、目尻、エラをまとめて相談するときは、総量の話も含めて確認してください。同通知では、講習を受け、施注手技に十分な知識・経験のある医師によってのみ用いられるよう求められている点も押さえておきたい部分です。
向いている人・向かない人

添付文書が定める禁忌
- 全身性の神経筋接合部の障害をもつ方(重症筋無力症など)
- 妊婦、妊娠している可能性のある方、授乳中の方
- 製剤の成分に対する過敏症の既往歴がある方
- 他のボツリヌス毒素製剤で治療中の方
慎重な判断が必要な方
慢性の呼吸器障害、重篤な筋力低下や筋萎縮、閉塞隅角緑内障、神経学的障害がある方は、症状の悪化や遠隔部位への影響のリスクが高まると添付文書に記載されています。65歳以上については、有効性が低く有害事象が増える傾向から投与は推奨されていません。
避妊に関する記載もあります。女性は投与中および最終投与後2回の月経を経るまで、男性は投与中および最終投与後3か月以上、避妊するよう求められています。妊娠の予定がある方は時期の相談を先にしてください。
もともと眉が下がりぎみの方は要相談
前頭筋は眉を持ち上げる働きをしているため、まぶたのたるみを眉を上げて補っている方は、額の動きが弱まると視野の重さを自覚することがあります。まぶたのかぶさりが強い場合は、注射より眼瞼下垂手術や二重手術など別の選択肢が合うこともあります。BIOTOPE CLINIC 白金では形成外科の診療もあわせて行っているので、どちらが合うか判断がつかない場合はご相談ください。
費用の考え方
表情皺に対するボツリヌス毒素注射は、疾患の治療ではなく美容目的の施術です。公的医療保険は適用されず、全額自己負担の自由診療になります。料金は製剤の種類、注射する部位、使用する単位数によって変わるため、部位ごとの単位数と総額を見積もりの段階で確認してください。
額は国内で承認された適応ではないため、適応外使用として扱われます。使用する製剤名、承認状況、副作用が生じたときの対応について、書面での説明を受けた上で判断することをおすすめします。
カウンセリングで確認したいこと
- 使用する製剤の商品名と、国内での承認状況
- 額への使用が適応外使用にあたるという説明があるか
- 注射する部位ごとの単位数と、当日の総単位数
- 眉毛下垂やまぶたの重さが出た場合の対応と、その費用負担
- 前回の注射からの間隔(3か月以内になっていないか)
- 妊娠・授乳の予定、内服中の薬、持病の申告漏れがないか
- 施術後に体調変化があったときの連絡先と受診方法
BIOTOPE CLINIC 白金へのご相談
気になる症状・治療法は、形成外科専門医・苅部医師にカウンセリングでご相談ください。お一人おひとりの肌・お悩みに合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
所在地: 東京都港区白金 / 監修: 苅部 淳 医師(形成外科専門医)
よくある質問
- Q. 額に打つと必ず眉毛が下がりますか。
- 必ず起こるものではありません。米国の添付文書に載っている前額部の臨床試験では、眉毛下垂の報告は実薬群で2%、プラセボ群で0%でした。ただし前頭筋は眉を持ち上げる筋肉なので、注射の位置と量の設計しだいで影響の出方は変わります。
- Q. 効果が切れてきたので早めに打ち直したいのですが。
- 添付文書は3か月以内の再投与を避けるよう記載しています。短い間隔でくり返すと中和抗体ができ、効きにくくなる可能性があるためです。効果の持続には個人差があるので、間隔については担当医に相談してください。
- Q. 副作用が出た場合、国の救済制度は使えますか。
- 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず生じた副作用による健康被害が対象です。PMDAは対象外となる場合の一つに「医薬品等の使用目的・方法が適正であったとは認められない場合」を挙げています。承認外の部位への使用については、事前に医療機関へ確認してください。
まとめ
額へのボツリヌス毒素注射は、2026年9月時点の日本では承認された適応に含まれず、適応外使用として行われています。2026年5月に前額部の適応追加が申請され、現在審査中です。米国の添付文書では前額部が適応に含まれ、眉毛下垂2%、眼瞼下垂2%、頭痛9%といった副作用が報告されています。
国内の添付文書では、眼瞼下垂・頭痛・注射部位疼痛が1〜5%未満、複視や兎眼などが1%未満の頻度区分で記載され、重大な副作用としてアナフィラキシーや嚥下障害・呼吸障害も挙がっています。禁忌にあたる方、再投与の間隔、総単位数の上限といった決まりも押さえた上で判断したい施術です。
気になる方はカウンセリングでご相談ください。BIOTOPE CLINIC 白金(港区白金)でもご相談いただけます。
References
- アッヴィ合同会社『ボトックスビスタ注用50単位/ボトックスビスタ注用100単位 添付文書(2026年8月改訂・第4版)』医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索、2026年 出典
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構『Q7 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。』医薬品副作用被害救済制度 出典
- 厚生労働省医薬食品局審査管理課『A型ボツリヌス毒素製剤の使用にあたっての留意事項について(薬食審査発第1027001号)』2010年 出典
- AbbVie Inc.『BOTOX COSMETIC (onabotulinumtoxinA) for injection, Prescribing Information』DailyMed, U.S. National Library of Medicine、2024年10月18日改訂 出典
- アッヴィ合同会社アラガン・エステティックス『アラガン・エステティックス、日本においてA型ボツリヌス毒素製剤の前額部の表情皺に関する適応追加の製造販売承認を申請』2026年5月18日 出典
関連記事
本記事と合わせて読みたい記事はこちらです。
- 【額のシワを目立たなくしたい人必見】額ボトックスの効果
- 額のしわ原因と治療法まとめ|ボトックス・ハイフの違いを解説
- ボトックスの効果・持続期間は?眉間・目尻の国内臨床データで解説
- 首のバンドにボトックスは効果ある?日本での承認状況と注意点を解説
- ボトックスの効果・持続期間は?長持ちさせるポイントも解説
監修医師
苅部 淳
Karibe Jun
理事長
略 歴
資 格
受 賞
苅部 淳 理事長の発信
関連クリニックの発信
Other関連記事

- ヒアルロン酸
- お顔の治療
ヒアルロン酸でほうれい線治療|費用の内訳と持続期間・注意点を解説
2026.09.07
ほうれい線のヒアルロン酸注入は自由診療で全額自己負担となるため、費用がどう決まるかを知ることが大切です。製剤の種類・使用量・注入部位・診察料やアフターフォローといった料金の構成要素を整理し、「1本いくら」の表示が総額ではない理由、見積もりで見落としやすい項目、学会や厚生労働省の資料で確認できるリスクまで解説します。

- しわ
- お顔の治療
エラボトックスの費用と小顔効果は?2026年承認の最新情報を解説
2026.09.07
エラの張りが気になる方へ。2026年8月にボトックスビスタの効能・効果へ咬筋膨隆が追加され、エラボトックスは国内承認の範囲内となりました。本記事では小顔を目指す施術の仕組み、添付文書に記載された投与量48〜72単位、国内第III相試験の改善率、費用が自由診療となる理由、副作用や禁忌、カウンセリングの確認点を整理します。

- しわ
- お顔の治療
額のしわの原因と治療法まとめ|表情じわと刻まれたしわの見分け方
2026.09.05
額の横じわが消えないのはなぜか。前頭筋の収縮、紫外線による光老化、眼瞼下垂の代償という額のしわの原因を整理し、鏡の前でできる表情じわと刻まれたしわの見分け方を解説します。乾燥による浅い線との違い、治療を選ぶ前に確認したい国内の承認状況の考え方、カウンセリングで聞いておきたい項目まで、形成外科の視点でまとめました。
Categoryカテゴリー
Archiveアーカイブ
- 2026年9月 (12)
- 2026年8月 (21)
- 2026年7月 (21)
- 2026年6月 (40)
- 2026年5月 (4)
- 2025年11月 (13)
- 2025年8月 (4)
- 2025年7月 (5)
- 2025年6月 (1)
- 2025年5月 (4)
- 2025年4月 (6)
- 2025年3月 (8)
- 2025年2月 (11)
- 2025年1月 (8)
- 2024年12月 (12)
- 2024年11月 (3)
- 2024年10月 (6)
- 2024年9月 (13)
- 2024年8月 (2)
- 2024年5月 (1)
- 2023年11月 (1)
- 2023年2月 (7)
- 2023年1月 (5)
- 2022年12月 (11)
- 2022年11月 (10)
- 2022年10月 (3)
- 2022年9月 (3)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (3)
- 2022年6月 (7)
- 2022年4月 (1)
- 2022年2月 (1)
- 2020年9月 (1)
- 2020年6月 (1)
- 2020年5月 (1)
- 2020年4月 (2)
- 2020年2月 (1)
- 2020年1月 (1)
- 2018年3月 (3)
- 2018年2月 (3)

