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アクアフィリング涙袋のリスク・デメリットと安全な代替治療

2026.06.08

アクアフィリングを涙袋に使うリスク・デメリットとは?知っておきたい安全性の真実

「涙袋をふっくらさせたい」「ヒアルロン酸よりも長持ちすると聞いた」――そんな理由からアクアフィリング注射に興味をお持ちの方が増えています。一方で、「アクアフィリング 涙袋 リスク」「デメリットが怖い」といったキーワードで検索される方も多く、安全性への不安が広がっているのも事実です。

アクアフィリングはポリアクリルアミドハイドロゲルを主成分とする注入材で、日本国内では薬機法上の承認を得ていない施術です。この記事では、アクアフィリングを涙袋に使うことのリスクとデメリットを正確に解説するとともに、より安全性の高い代替治療についてもご紹介します。

  • アクアフィリングとは何か、その成分と仕組み
  • 涙袋への使用に伴う具体的なリスク・デメリット
  • 日本国内での薬機法上の位置づけ
  • アクアフィリングと他の涙袋形成術の違い(比較表あり)
  • より安全な代替治療の選択肢とクリニック選びのポイント

アクアフィリングとは?成分・仕組みと涙袋への使われ方

アクアフィリングの主成分と特徴

アクアフィリング(Aquafilling)は、ポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)を約97.5%と少量の界面活性剤などで構成された注入材です。水分を多く含むゲル状の素材で、注射によって皮膚の下に充填(じゅうてん)することでボリュームを出すことができます。

もともとはヨーロッパや韓国などで乳房増大や顔のボリューム補填に使用されてきた経緯がありますが、日本では薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく承認を受けていません。そのため、国内で使用することは法的にグレーな領域とされています。

なぜ涙袋に使われるのか

涙袋とは、下まぶたの縁に沿ったふっくらとした膨らみのことです。この部位は元来、眼輪筋(がんりんきん)という目の周りの筋肉が発達することで形成されます。涙袋があると目が大きく見えたり、やわらかい印象を与えたりするとされるため、美容目的でのボリュームアップを希望する方が多くいます。

アクアフィリングは持続期間が長い(数年〜半永久的ともいわれる)とされる点が口コミで広がり、一部のクリニックで涙袋への注入に使われてきました。しかし後述するように、この「長持ちする」という特徴がむしろ深刻なリスクの原因にもなり得ます。

アクアフィリングを涙袋に使う主なリスク・デメリット

①石灰化・硬結(こうけつ)が生じるリスク

ポリアクリルアミドハイドロゲルは時間の経過とともに変性し、石灰化(カルシウムが沈着して硬くなる現象)や硬結(しこり)を引き起こすことがあるという報告があります。涙袋は皮膚が非常に薄い部位であるため、硬結が生じると表面から触れるだけでなく見た目にも凹凸が現れやすくなります。

一度硬結が形成されると、自然に消失することはほとんどなく、外科的な除去が必要になる場合があります。薄い下まぶたの皮膚での手術は技術的に難易度が高く、傷跡が残るリスクも否定できません。

②肉芽腫(にくがしゅ)などの炎症反応

異物反応として、注入した素材の周囲に慢性的な炎症が起こり、肉芽腫(グラニュローマ)が形成されることがあります。肉芽腫は赤みや腫れ、しこり、痛みを伴うことがあり、場合によっては注入後数年が経過してから症状が現れることもあります。

2017年にAesthetic Surgery Journalに掲載された研究では、顔面にポリアクリルアミドハイドロゲルを注入した患者の一定割合に遅発性の炎症反応や肉芽腫が認められ、外科的除去が必要なケースが報告されています。この遅発性という特徴が、問題の早期発見を難しくしています。

③注入材の移動(マイグレーション)

ゲル状の素材は注入後に周囲の組織に拡散・移動することがあります。涙袋に注入したにもかかわらず、素材が目の周囲や頬方向に広がってしまうと、意図しない部位の変形や非対称が生じるリスクがあります。

皮膚の薄い涙袋では特にこの移動が起きやすいとされており、完成形を予測しにくいという問題もあります。

④除去が非常に困難

ヒアルロン酸注射であれば「ヒアルロニダーゼ」という溶解薬を注射することで比較的容易に除去できます。しかしアクアフィリング(ポリアクリルアミドハイドロゲル)には対応する溶解薬が存在しません。除去するためには外科的な切開・摘出手術が必要となりますが、組織への癒着(ゆちゃく)が強い場合には完全除去が難しく、複数回の手術が必要になることもあります。

⑤薬機法上の問題と品質の担保

日本国内では薬機法の承認を受けていない注入材であるため、クリニックによって使用している製品の品質・純度が異なる可能性があります。正規のルートで輸入・管理されていない製品が使われるリスクもゼロではなく、感染症や不純物による健康被害も懸念されます。

苅部医師のコメント

「当院では、他院でアクアフィリングを注入した後にしこりや変形が生じ、除去を希望してご来院される方が一定数いらっしゃいます。特に涙袋のような皮膚の薄い部位では、硬結や移動のリスクが高く、修正手術も難易度が上がります。”長持ちする”という情報だけで選んでしまうのは非常に危険です。まず国内で承認された素材・施術を選ぶことを強くおすすめしています。」

アクアフィリングと他の涙袋形成術の比較

涙袋を形成・強調する施術には複数の選択肢があります。それぞれの特徴を下記の表で比較してみましょう。

比較項目 アクアフィリング注入 ヒアルロン酸注射 裏ハムラ法(形成外科的手術)
主成分・素材 ポリアクリルアミドハイドロゲル ヒアルロン酸(体内にある天然成分) 自己組織の再配置(異物なし)
日本の薬機法承認 未承認 製品による(承認品あり) 手術手技のため対象外
持続期間 数年〜(半永久的ともいわれる) 6か月〜1年半程度 効果が長期持続しやすい
修正・除去の容易さ 非常に困難(外科手術が必要) 溶解薬で比較的容易に対応可 修正手術が必要(難易度は術式による)
主なリスク 硬結・肉芽腫・移動・除去困難 内出血・腫れ・チンダル現象など 手術リスク(感染・傷跡など)
ダウンタイム 数日〜(トラブル時は長期化) 数日程度(内出血が出る場合あり) 1〜2週間程度

よく見られる誤解と見落としがちなポイント

誤解①「長持ち=安全・お得」ではない

アクアフィリングが注目される大きな理由の一つが「長持ち」という特徴ですが、長持ちすることは必ずしも安全を意味しません。万が一トラブルが生じた際に対処できない素材が長期間体内に留まることは、むしろリスクが高いといえます。

医療において「修正・除去できること」は安全性の重要な要素の一つです。ヒアルロン酸注射のように溶解薬で対応できる素材には、「万が一のときに戻せる」という大きなメリットがあります。

誤解②「韓国や海外で認可されているなら安心」

アクアフィリングは韓国などで一定の使用実績があるとされていますが、各国の薬事規制や承認の基準は異なります。海外で許可されているから日本でも安全とは言い切れません。日本では薬機法という厳格な基準があり、国内未承認の注入材を使うことのリスクは、たとえ施術自体が海外で行われているものであっても変わりません。

安全な涙袋形成の代替治療について

ヒアルロン酸注射による涙袋形成

現在、涙袋のボリュームアップを目的とした注射治療として広く行われているのはヒアルロン酸注射です。ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分であり、生体親和性が高く、万が一の際にはヒアルロニダーゼ(溶解薬)で溶かすことができます。

BIOTOPE CLINIC 白金でも、ヒアルロン酸注射による涙袋形成のご相談を承っています。皮膚の薄い涙袋部位への注入には解剖学的な知識と繊細な技術が求められるため、医師の経験と技術力が重要です。

裏ハムラ法(形成外科的アプローチ)

目の下のクマや涙袋・頬の境目(ゴルゴライン)が気になる方には、裏ハムラ法という形成外科的な手術が選択肢の一つになることがあります。下まぶたの内側(結膜側)から切開し、眼窩脂肪(がんかしぼう)を再配置することでクマを改善し、涙袋を自然に整える効果が期待できます。異物を注入しないため、素材由来のリスクがなく、効果が長期間持続しやすい点が特徴です。

当院の外来では、「以前に注入治療を受けたが不自然な仕上がりになった」「修正を希望している」というご相談が増えています。形成外科専門医による診察のもとで、一人ひとりの状態に合った治療法をご提案しています。気になる方はカウンセリングでご相談ください。

アクアフィリングのダウンタイムと副作用

施術直後〜数日の症状

アクアフィリングを注入した直後は、注射による腫れ・内出血・赤みが生じることがあります。これらは多くの場合、数日〜1週間程度で落ち着くとされています。ただしこれはあくまで短期的な反応であり、問題が顕在化するのは数か月後・数年後になることもあります。

遅発性のトラブルに注意

前述の通り、肉芽腫や硬結、素材の移動といったトラブルは施術から時間が経過してから現れることがあります。施術直後に問題がなくても「安全だった」とは言い切れないため、長期的な経過観察が必要です。何らかの異変を感じた場合は、施術を受けたクリニックではなく、形成外科専門医のいる医療機関への相談が推奨されます。

よくある質問

Q. アクアフィリングで生じたしこりは自然に治りますか?
自然に消失することはほとんどないとされています。硬結や肉芽腫が形成された場合、外科的な除去手術が必要になることが多く、皮膚の薄い涙袋部位での手術は難易度が高くなります。症状が出た場合は早めに形成外科専門医へご相談ください。
Q. 涙袋のヒアルロン酸注射とアクアフィリング注入は何が違いますか?
最大の違いは「修正・除去の可否」と「薬機法上の承認の有無」です。ヒアルロン酸は溶解薬で対応でき、国内承認品も存在します。アクアフィリングは対応する溶解薬がなく、日本では薬機法上未承認の注入材です。持続期間はアクアフィリングのほうが長いとされますが、トラブル時の対処が非常に困難になる点がデメリットとして挙げられます。
Q. すでにアクアフィリングを注入してしまった場合、どこに相談すればよいですか?
形成外科専門医が在籍するクリニックへのご相談をおすすめします。除去の可否・方法・リスクについて、専門的な診察のもとで判断してもらうことが重要です。施術を受けたクリニックとは別の医療機関でセカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。

まとめ

アクアフィリングは「長持ちする涙袋形成」として一部で注目されてきた注入材ですが、日本国内では薬機法上の承認を受けておらず、硬結・肉芽腫・素材の移動・除去困難といった深刻なリスクが報告されています。「長持ち=安全」という認識は誤りであり、修正・除去ができないことのリスクを十分に理解したうえで判断することが大切です。

涙袋を形成・強調したい場合は、ヒアルロン酸注射や裏ハムラ法など、安全性と修正可能性が高い治療を選ぶことを検討されることをおすすめします。BIOTOPE CLINIC 白金(港区白金)では、形成外科専門医の苅部医師が一人ひとりの状態を丁寧に診察し、リスクを含めた正直なご説明のうえで最適な治療法をご提案しています。涙袋のお悩みや、過去の注入治療に関するご不安がある方は、ぜひカウンセリングでお気軽にご相談ください。

References

  1. Christensen L, et al. Adverse reactions to injectable soft tissue permanent fillers. Aesthetic Surgery Journal. PubMed検索
  2. Alijotas-Reig J, et al. Late-onset inflammatory adverse reactions related to soft tissue filler injections. Clinical Reviews in Allergy & Immunology. PubMed
  3. Amin SP, et al. Complications from injectable polyacrylamide gel: a review. Dermatologic Surgery. PubMed検索
  4. Hedén P, et al. Long-term complications of polyacrylamide hydrogel injections for breast augmentation: implications for facial use. Plastic and Reconstructive Surgery. PubMed検索
  5. Lemperle G, et al. Avoiding and treating dermal filler complications. Plastic and Reconstructive Surgery. PubMed

監修医師

苅部 淳

Karibe Jun

理事長

略 歴

順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
各病院での臨床経験を経て形成外科専門医取得
2019年 麹町皮ふ科・形成外科クリニック 開院(千代田区市ヶ谷)
2021年 BIOTOPE CLINIC 白金 開院(港区白金)

資 格

日本形成外科学会 形成外科専門医
日本抗加齢学会 専門医
日本医師会認定産業医
アラガン社 ボツリヌス注射・ヒアルロン酸 VST認定医

受 賞

東京大学形成外科 最優秀賞(2016年)
日本形成外科学会 優秀賞(2018年)
ASPS(アメリカ形成外科学会)優秀演題発表(2018年)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。気になる症状・お悩みがある場合は専門医にご相談ください。
参考:日本美容外科学会(JSAPS)日本皮膚科学会

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