幹細胞培養上清液とは

幹細胞培養上清液（かんさいぼうばいようじょうせいえき）は、ヒト由来で得られます。
そのため、ヒト幹細胞培養上清液もしくはヒト幹細胞上清液と呼ばれることもありますが、すべて同義です。

私たちは失われた細胞を再度生みだす補充能力が備わっており、こうした能力を持つ細胞を幹細胞と呼びます。

特殊な細胞の幹細胞は、自身の成長・増殖をする際に生理活性タンパク質「サイトカイン」の放出が知られており、成分の医学的利用が研究されてきました。

「サイトカイン」はホルモン様の低分子タンパク質であり、細胞同士における情報伝達機能を持ち、特異受容体との結合により細胞増殖・細胞分化のコントロール・免疫反応の増強・免疫反応のコントロールなどを行います。

幹細胞培養上清液は、ヒトから採取した幹細胞を培養した後、遠心分離で培養液から細胞や不純物の除去で得られるものです。
この上清液には多くの「サイトカイン」が含まれており、様々な治療効果を期待できます。

なお、幹細胞培養上清液は臍帯由来・歯髄由来・脂肪由来などがあり、使用部位や目的により適正に選択されるものです。

期待される効果

幹細胞培養上清液に期待される効果・作用を項目ごとに解説しましょう。

・発毛効果（薄毛・AGA治療）
毛母細胞に対する働きかけで効果が期待できます。

・美容効果
組織の修復作用により「しわ・たるみ」に効果が期待できます。

・抗炎症作用
幹細胞から得られた「サイトカイン」が免疫細胞を刺激・増殖させて、効果的に炎症を抑制します。

・血管再生・血管新生作用
組織損傷による血流途絶に対して、新しい血管が伸びて血管網が構築される作用を表します。
幹細胞由来「サイトカイン」は血管新生を促す作用を持ちます。

・活性酸素除去作用
幹細胞由来「サイトカイン」は活性酸素を除去する作用を持ちます。
生活習慣病の予防やアンチエイジング効果を期待できます。

・免疫調整作用
抗炎症作用の項目で触れましたが、免疫細胞の刺激により免疫機能をコントロールします。
アレルギー疾患の改善に欠かせない作用と言えるでしょう。

・神経細胞修復・再生作用
幹細胞由来「サイトカイン」は神経細胞の修復・再生・保護を担う因子を持ち、効果が期待できます。

治療について

幹細胞培養上清液による治療の具体例を紹介しましょう。

発毛治療

男性型脱毛症（AGA）にお悩みの男性は少なくありません。
現在では、症状のメカニズムが解明され幾つかの治療法が確立しています。
その中のひとつに幹細胞培養上清液利用の治療法があり、最先端クリニックで採用されています。

治療法説明の前にAGAを掘り下げて解説しましょう。

AGAはAndrogenetic Alopecia（アンドロジェネティック・アロペシア）の略で男性型脱毛症を意味します。

男性ホルモンや遺伝の影響により抜け毛が進行するもので、全国に1,260万人が該当するものです。

その発生メカニズムは、男性ホルモンの一種（テストステロン）が還元酵素（5αリダクターゼ）により悪玉脱毛ホルモンDHT（ジヒドロテストステロン）に変換されるところから始まります。

DHTは、毛乳頭（毛髪産生の指令室）の受容体と結合して、髪の成長を抑えてしまうので、毛髪が十分に成長する前に退行期へと移行して抜け毛となってしまうのです。

DHTの影響は正常な毛髪サイクルを阻害します。
放置すると薄毛が目立ち始め、やがて毛母細胞は死滅状態に陥るでしょう。
このような状態の前に手を打たなければなりません。

発毛治療には、幹細胞培養上清液から得られる「サイトカイン」と「専用治療薬」が使用されます。

幹細胞由来「サイトカイン」には成長因子を豊富に含むものがあり、頭皮注入で毛乳頭細胞の修復に関与して毛髪の成長促進が期待できるものです。

治療薬の第一候補はミノキシジルです。
こちらは毛包に直接作用する特長をもち、タンパク質合成の促進により発毛作用を示します。

発毛治療の現場では、MESOJET（メソジェット）と呼ばれる最先端の専用医療機器が開発・使用（最先端のクリニック限定）されています。

MESOJETは国立大学病院と大手製薬会社による研究開発で誕生した発毛再生の専用医療機器です。

仕組みは、世界最小の0.03mm径での炭酸ガス利用による頭皮噴射で薬剤を浸透させるものとなります。

蚊の針部分が0.06mmですから、0.03mmがいかに極細かは想像つくでしょう。

炭酸ガスを利用した水圧で頭皮組織に注入させ、注射針は使用しませんので痛みが少ない点をメリットとします。

MESOJET治療は頭皮細胞の深層まで有効成分を浸透させますので、高い治療効果が期待できます。

さらに、内服薬（ミノキシジル・フィナステリド・ザガーロ）や外用薬（ミノキシジル）の併用が効果的と言えるでしょう。

お肌の治療（美容皮膚）

幹細胞由来「サイトカイン」は様々な生理活性タンパク質を放出しています。
前項で触れましたが「サイトカイン」は細胞増殖・細胞分化のコントロールを担う因子となるものです。

美容医療クリニックはこの性質に着目して、幹細胞培養上清液から抽出した幹細胞由来「サイトカイン」を老化で衰えた肌細胞の再生に利用しました。

また、傷跡治療に対しても幹細胞由来「サイトカイン」の注入は効果的であり、細胞の回復作用をサポートします。

施術方法は、「サイトカイン」を肌細胞へ届けるため「ダーマペン・水光注射・ポテンツァ」が採用されるものです。

「ダーマペン・水光注射・ポテンツァ」はいずれも肌細胞に極細の注射針で薬剤を投入する手法であり、方式や機材の違いで名称が変わると考えてください。

それぞれを簡単に説明しましょう。

・ダーマペン
ダーマペンは、超極細針（髪の毛より細い）を使用して肌表面に極小の穴を一時的に開ける施術です。

開いた極小穴から幹細胞培養上清液を浸透させれば美容効果が大きく、肌本来の回復力（自然治癒力）と併せて、コラーゲンやエラスチンなど弾力をキープするタンパク質生成を促進させますから、気になる「肌のたるみ」「毛穴開き」「ニキビ跡」改善効果に期待できます。

・水光注射
水光注射は、専用マシンを使用して肌を瞬間的に吸引しながら有効成分を注入する施術です。

9本の極細針を備えた専用マシン（ダーマシャインプロ）で幹細胞培養上清液・ヒアルロン酸などを肌内部に送り込みます。

施術名は、ツヤと弾力のある肌を美容先進国の韓国で「水光皮膚（すいこうひふ）」と呼ぶところから名づけられました。

「シワ改善」「弾力不足改善」「水分不足改善」「くすみ改善」の効果が期待されます。

・ポテンツァ
ポテンツァは、Jeisys（ジェイシス：韓国本社のグローバル企業）社が開発した美肌医療機器です。

マイクロニードル（極細針）を使用したRF治療器となり、針先から高周波ラジオ波が照射される点に特長があります。

ニードルで傷つけた部分の「自然治癒力」でコラーゲン・エラスチン生成、および高周波RFで真皮層へ熱を加えて血流を促し、肌引き締めやリフトアップ効果を期待する施術です。

ポテンツァはドラッグデリバリーシステムを持ちます。
肌に塗った薬剤（ドラッグ）を肌の真皮層へ運搬（デリバリー）しますので、効率よく美肌を入手できる点が大きなメリットです。

これは、ニードルを刺す際に吸い込んだ空気をポンピングの要領で、肌表面に塗った薬剤を真皮層まで送り込みますので、効率よく高濃度薬剤の供給に役立ちます。

その順序は「肌表面に薬剤を塗布」「ニードル挿入時に空気が流れ込む」「皮膚が押し上げられニードルが刺さる」「ラジオ波照射」「ニードルの抜去時に空気の放出」「空気圧でニードル跡（傷部分）に薬剤が押し込まれる」となるものです。

ドラッグデリバリーシステムの活用で、幹細胞培養上清液を効率よく真皮層へ送り込めば、想像以上に高い美容効果を期待できるでしょう。

疼痛治療（局所注射）

幹細胞培養上清液を利用した治療に「疼痛治療」があります。

疼痛とは痛みを指す医療用語です。
膝・肩・腰の痛みに悩まされている人が多いのではないでしょうか。

痛みを感じる部位へ幹細胞培養上清液の注入により「痛みの緩和」や「機能回復」が期待されます。

つぎに挙げる痛み・症状の緩和に効果的です。

なかでも「膝の痛み」に関連した「変形性膝関節症」に対して極めて有効とされます。
近年では多くの整形外科病院で採用される治療法となるものです。

点滴療法

幹細胞培養上清液を静脈点滴により対象の疾患部位まで到達させることが可能です。
血液が全身を巡る時間は30秒~50秒とされ、想像以上の速度で血管を流れています。

身体の中に異常（痛み・病変）がある場合、その部分に修復させる細胞を呼び寄せる機能が備わっており、これをホーミング効果と呼びます。

幹細胞は異常部位の修復機能を持ち、点滴で体内に投入すると速やかに修復へ向かいますので、難しいとされる「身体の深部修復」に高い効果を発揮すると言えるでしょう。

幹細胞培養上清液を利用した点滴療法は、疾患部位のみならず全身機能の回復・改善効果を期待できますので、アレルギーなどの体質改善（アトピー性皮膚炎の治療）やエイジングケア（しわ・たるみ改善）に活用されています。

幹細胞コスメについて

幹細胞には「ES細胞（胚性幹細胞）」や「iPS細胞（人工的多能性幹細胞）」が含まれます。
再生医療の分野で話題の幹細胞は今後ますます注目されることでしょう。

幹細胞コスメは再生能力に着目したものであり、肌のエイジングケアを目的としています。
クリニックでの美容医療だけでなく、ご家庭における日頃のエイジングケアに幹細胞コスメ活用は大変効果的であると考えてください。

さらに幹細胞コスメの詳細な解説をしましょう。

このコスメは、幹細胞の増殖時に分泌される培養液を使用する点に特長を持ちます。
培養液にはサイトカイン（生理活性物質）およびグロースファクター（成長因子）が含まれており、お肌に浸透させればターンオーバー（肌細胞の生まれ変わり）周期の正常化に効果があります。

ターンオーバー正常化は健康なお肌作りに大切な要素です。
弾力のある健やかなお肌を取り戻すために、幹細胞コスメは欠かせないアイテムと言えるでしょう。

麹町皮ふ科・形成外科クリニックでは、幹細胞コスメとして「幹細胞培養上清液化粧水：100ml/16,280円」「幹細胞培養上清液美容液：30ml/10,780円」「幹細胞培養上清液クリーム：30g/15,180円」を取り扱っており、保湿や抗炎症作用およびアンチエイジング効果が期待できる化粧品です。

なお、麹町皮ふ科・形成外科クリニックは医療法人社団・医進会小田クリニックと提携しています。

小田クリニックは厚生労働省へ「第Ⅱ種再生医療提供計画」を提出して計画番号を取得しており、細胞加工施設として正式な許認可を得た施設です。

幹細胞関連の医療・治療行為は、「妥当性」「安全性」「医師体制」「細胞加工管理体制」が特定認定再生医療等委員会（厚生労働省認可）により厳しい審査がなされます。

小田クリニック製造の幹細胞は厳格な審査を経ており、麹町皮ふ科・形成外科クリニックはハイレベルな幹細胞提供を受けるものと認識してください。

治療回数について

治療・施術内容や個人差はありますが、一般的には5回程度の治療が推奨されています。
（1回の治療で効果を実感される方もいらっしゃいますので、5回は目安と考えてください）

副作用・合併症

幹細胞培養上清液治療による重大な副作用・合併症の報告はありません。
ただし注射・点滴時の穿刺部の痛みや内出血およびアレルギー反応（極めて稀とされます）の可能性があります。
治療・施術前に過去のアレルギー反応をドクターへ申し出てください。

Q&A

• Q：効果はどれくらいで実感できるか？
  A：早ければ投与後2週間程度で実感できます。
• Q：効果的な治療回数や間隔は？
  A：推奨される治療回数は5回で、2週間～1ヵ月間隔が効果的です。
• Q：治療に痛みはあるか？
  A：注射や点滴による痛みはあります。
  麻酔利用で痛みの軽減が可能です。
• Q：幹細胞培養上清液治療の違い（他クリニックとの違い）
  A：麹町皮ふ科・形成外科クリニックでは成分分析を行っており、他クリニックより高濃度のグロースファクター（成長因子）を含む点が確認済です。

まとめ

幹細胞培養上清液は、エイジング治療の分野で大変注目されています。

さらに慢性疼痛やケガ・神経損傷による痛みへの治療に効果を発揮しており、老化細胞の回復のみならず、損傷組織の修復も期待できる治療方法です。

治療適用に該当する「お悩み」なら、早めの通院で解決を目指しましょう。