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専門医が教えるコスパ最強のスキンケア
2025.11.23

はじめに
―「高いほど効く」を卒業し、“少ない投資で大きく守る”医学を。
みなさん誰もが「お金を掛けずに美しい肌を手に入れたい」と考えているはずだ。
わたしの患者様も次から次へと高級な化粧品を買っては変える。
化粧品業界の餌食にまんまとハマっている。
世の中には一本数万円の美容液があふれ、毎月の“美肌サブスク”のように化粧品を重ねる人も少なくない。
だが、皮膚科の臨床と国際的な研究を丁寧にたどると、高価であることと、肌にとって合理的医学的であることは別問題だ。
ポイントは、肌の生理に沿った「最小構成」を確実に積み上げること。
米国皮膚科学会(AAD)の一般向け提言は、まさにその思想を端的に言い表している。
<洗う(cleansing)・保湿(moisturizing)・守る(protecting)>
という、シンプルな三本柱だ。高価なライン使いを増やすほど効くのではなく、製品数と工程をむやみに増やすほど、費用だけでなく肌刺激も増える——AADはそう注意している。
科学的に正しい“ミニマム・スキンケア”は、実は最もコスパが良いスキンケアでもあるのだ。
今日は、低刺激洗浄、適正保湿、日焼け止めの通年使用、多機能化粧品の活用、ラベル読解、ワセリン活用、そしてレチノールを、英語圏の一次研究・ガイドラインで裏打ちしながら、解説していく。
結論から言えば、“毎日の紫外線対策”と“バリアを壊さない生活”こそが、投資対効果の軸である。
1 「守る」から始める:光老化という最大のコスト
老化には加齢に伴う自然老化と、紫外線等による光老化がある。
問題は、見た目年齢に強く効くのが後者だという事実だ。日焼け止めは“夏の小物”ではない。毎日、通年が基本である。
この常識に、臨床レベルのランダム化試験が裏付けを与えた。
豪州で4年半にわたり行われたRCTでは、「日焼け止めを毎日使う」群は、「気が向いた時だけ使う」群に比べ、皮膚の老化スコアの進行が有意に抑制された。
ヒトで“若さの維持”を示した希少な研究であり、最強のアンチエイジングは毎日のSPFだと結論づけられる。
加えて忘れてはならないのがUVAだ。
日常の窓ガラスはUVBを多く遮るが、UVAは通過してしまう。オフィスの窓際や車内でも光老化の針は進む。
ゆえに「広域スペクトル(UVA/UVB)」でSPF30以上というAADの推奨は、アンチエイジングの“保険”そのものだ。
物理的遮光(帽子・サングラス・日傘・衣服)を前段に置き、日焼け止めは最終防衛ラインと考えるのが合理的である。
さらに近年は可視光(とくに青色光)の色素沈着促進も注目されている。鉄酸化物(ティント)を含む日焼け止めは、可視光による色ムラ悪化を抑えることが示され、肝斑や炎症後色素沈着のある肌では選択肢となる。
通年のUVA対策+必要に応じた可視光遮断——この二段構えが、色調の均一性と長期の肌印象を守る。
2 「洗う」は攻めない:低刺激・弱酸性・回数の節度
洗顔は“守りの医療行為”である。
角層は、弱酸性(pH約5前後)で最も機能し、界面活性剤や高pHの洗浄は、天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質(セラミド)の流出を招く。
臨床では、弱酸性・低刺激のクレンザーを短時間で、こすらず使うだけで、乾燥や赤み、かゆみが落ち着く例が多い。
皮膚科学のレビューも、アルカリ寄りの洗浄が表皮バリアを低下させうると繰り返し警告している。
続きはnoteで読む。
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