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産後のお悩み「産後はげ」原因や対策を解説!
2025.04.19
出産後の抜け毛は「産後脱毛症(分娩後脱毛症)」と呼ばれ、多くの女性が経験することです。
「シャンプー後、排水溝に髪の毛がたくさん溜まってしまう」「ブラッシングをするとごっそりと抜けてしまう」「このままだとはげてしまうのでは…」など、不安な気持ちになる方も多いと思います。
一般的に産後1年以内には元に戻ると言われている症状ですが、初めての出産の場合、終わる見通しが立たず、鏡を見るたびに心配になるものです。
そこで今回は産後に悩む抜け毛の原因と対策についてご紹介します。
おうちでできる対策から始めて、しっかりとしたコシのある髪を育てていきましょう。
産後の抜け毛が起こる原因
産後の抜け毛の原因は、ホルモンバランスの変化、子育てなどの環境の変化、過度なダイエットなどの理由が挙げられます。
また、症状を気にしすぎることも、抜け毛を助長してしまう原因の一つです。
あまり考え過ぎず「いつかは治るもの」と気長に構えておくのがよいですよ。
産後のホルモンバランスの変化
一つ目は産後のホルモンバランスの変化です。
妊娠中の女性はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモン分泌が多く、髪の成長を促進します。
それによって、髪の毛を長く維持することができます。
髪の毛は一定期間に「成長期」「退行期」と進み、「休止期」が過ぎると抜け落ちて、新しい髪が作られます。
この一連の流れを「ヘアサイクル(毛周期)」と呼び、髪の毛の健康を守るために重要なシステムです。
ところが、産後は女性ホルモンの分泌が急降下し、本来のヘアサイクルに戻ります。
そうすると妊娠中に抜けるはずだった髪の毛がこの時期に一緒に抜けることで、抜け毛が増えたように感じるのです。
子育てなどの環境の変化
2つ目は子育てなどの環境の変化によるものです。
産後は出産のダメージが大きく、身体に負担がかかります。
また、赤ちゃんの誕生とともに一日のスケジュールが様変わりし、子ども中心の生活にシフトチェンジ。
「まとまった睡眠時間がとれない」、「食事が適当になる」、初めてのおむつ替えや授乳に戸惑い、ヘトヘトの状態になることも多いでしょう。
そういった環境の変化によって疲れや心労が重なり、抜け毛が増えたと感じることが多くなります。
産後のダイエットによる影響
3つ目は、産後の無理なダイエットによる影響です。
「早く産前のスマートな体型に戻りたい!」という思いから、食事を節制することが体に悪影響を及ぼします。
無理なダイエットによる栄養不足が続くと、他の臓器や母乳を作るための栄養が優先されて、頭皮や髪にまで必要な栄養が届かなくなってしまいます。
産後の抜け毛を防ぐためには過度なダイエットは避け、バランスのとれた食事を意識しましょう。
このほかにも、加齢や肩こり、冷え性、女性特有の疾患などからくる抜け毛もあります。
症状が1年以上続く場合は、一度専門のクリニックを受診して、原因を明らかにした方が安心です。
産後の抜け毛はいつから?
産後の抜け毛は、出産後2〜3か月頃から気になることが多いです。
4〜6か月頃になってくると、抜け毛の量はピークをむかえ、シャンプー後や髪を乾かしたとき、部屋に落ちている毛髪の量を見て、異変を感じることが多いようです。
半年〜1年位になってくると、症状が少しずつ落ち着き、新しい髪の毛が生えてきます。
今抜け毛が多くて悩んでいるという方も、安心して子どもとかけがえのない時間を過ごしてくださいね。
産後の抜け毛治療のタイミング
産後の抜け毛が1年以上続く場合は、一度クリニックを受診するのがおすすめです。
ホルモンバランスの変化による抜け毛だと思っていたら、実はほかの原因が関わっていたというケースもあります。
「抜け毛の量が減らない」、「頭皮の一部分が薄くなっている」など気になることがあれば、ためらわず専門家に相談してください。
原因が分かれば、症状の進行を抑えて、早めの対策ができます。
産後の抜け毛治療の方法
産後の抜け毛治療は、育毛剤やサプリメント、注射など、クリニックによって異なります。
女性の場合、授乳中や妊娠中、妊娠を希望している方など、患者様の状況に合わせた治療法を提案させていただきます。
発毛剤の処方
抜け毛の治療には、発毛剤が処方される場合があります。
「ミノキシジル」は代表的な発毛剤の一つで、女性にも使用が推奨されています。
しかし、全ての方に処方されるわけではありません。
授乳中や妊娠中、妊娠の可能性がある方、未成年の方は使用が禁じられています。
ミノキシジルは母乳へ移行することが知られており、妊娠中や未成年の方への使用は、安全性が確認できていません。
上記に該当する方は使用を控えてください。
育毛剤の処方
産後の抜け毛治療には、育毛剤が使用されることもあります。
女性の育毛剤は、頭皮と髪の美容液です。
血行を促す「センブリエキス」や雑菌の繁殖を抑える「イソプロピルメチルフェノール」、頭皮の環境を整える「β-グリチルレチン酸」などが配合されています。授乳中や妊娠中の方には使用がおすすめできないものもあるので、事前によく確認しましょう。
表.1 女性用育毛剤によく含まれている成分
成分 | 効能 |
センブリエキス | 毛髪の形成、頭皮の血流、皮脂分泌調整など |
イソプロピルメチルフェノール | 雑菌の増殖を抑える、殺菌、頭皮環境を整える |
β-グリチルレチン酸 | 炎症を抑える、刺激緩和、皮脂抑制 |
酢酸DL-α-トコフェロール | 血管拡張による血行促進、過酸化脂質抑制による抗酸化作用 |
タマサキツヅラフジアルカロイド | 毛根に働きかけてハリ・コシのある髪を育てる |
「配合成分の濃度が高ければ効果が出る」と思って安易に使用すると、頭皮に炎症が起こり、症状が悪化するリスクもあります。
初めての使用では、抜け毛の原因をしっかりと把握した上で、自分に合う医薬品、治療を受けることが重要です。
できるだけ医療機関を受診し、症状にあった育毛剤を処方してもらいましょう。
内服薬
抜け毛治療の内服薬はさまざまな種類があります。今回は女性向けの内服薬を3つご紹介します。
ミノキシジル
女性の薄毛治療に使われる医薬品です。頭皮の血流を調整し、発毛を促すことが期待されます。
内服薬のほかに、塗り薬や外用薬もあります。
パントガール
世界で初めて女性の薄毛に効果が認められた治療薬です。
髪の毛の成長を促し、頭皮に栄養を届けるなどの効果が期待できます。
主成分であるパントテン酸カルシウム(ビタミンB5)は、髪や頭皮の健康を保ち、必要な栄養素を補うことで、抜け毛を抑えます。
髪の毛のハリやコシの向上もサポートします。
ルグゼバイブ
パントガールと同様、パントテン酸カルシウムが含まれています。
髪の成長を助け、頭皮に栄養を届ける働きも行います。
美容成分の馬プラセンタも含まれているため、抜け毛治療はもちろん、女性の肌の健康も助けてくれます。妊娠中の方は服用できません。
サプリメントの処方
産後の抜け毛治療には、サプリメントが処方されることもあります。
毛髪を作るのに欠かせないたんぱく質や亜鉛、ビタミンB群のほか、髪の成長をサポートするL-リジン、ケラチン加水分解物、大豆イソフラボン、コラーゲンペプチドが含まれることもあります。
栄養補給が目的で、食事では摂りきれない栄養素を補うことができます。
表.2 抜け毛治療用いられるサプリメント
配合成分 | 説明 |
亜鉛 | 毛髪の生成をサポートし、育毛サイクルを整える |
ビタミンB群 | ビタミンB2は頭皮の細胞分裂を行い、ビタミンB6は髪を構成するたんぱく質(ケラチン)の合成をサポートする |
L- リジン | 必須アミノ酸の一つで、髪の生成を促す |
コラーゲンペプチド | 毛根の環境を整え、ハリやコシのある髪へと導く |
ケラチン加水分解物 | 髪を構成するたんぱく質で、髪の成長をサポートする |
市販で買えるものもありますが、種類が多く、自分に合うものが見つけにくい可能性があります。
注射(毛髪再生医療)
産後の薄毛治療には、発毛を目的とした注射を選択できることもあります。
当院の「毛髪再生医療」は、幹細胞培養上清液に含まれるたんぱく質(サイトカイン)が、血流によって頭皮に届き、組織の修復をするように働きかけます。
痛みはほとんどなく、幹細胞治療と違って副作用のリスクがないこと、また、変化を実感しやすいことが最大のメリットです。
産後の抜け毛治療でかかる費用
産後の抜け毛治療の費用は、クリニックや症状によって異なります。
初診料や検査(血圧や血液)、外用薬、内服などを含めて1~8万円程度になることが多いです。
治療は1か月に約1回で、経過によって3~5回ほど継続していくことが推奨されています。
具体的な費用は、カウンセリングで見積りをとっていただくと安心です。
当院の料金は、以下の通りです。
5回の場合、396,000円(通常より44,000円お得です)
ミノキシジル (1箱100錠) 8,800円
ミノキシジル5%外用液 5,500円
フィナステリド(1箱28錠)5,280円
ザガーロ(1箱30錠)11,000円
産後の抜け毛対策
ここからは自宅でできる産後の抜け毛対策をご紹介します。
普段の食事や睡眠、洗髪、頭皮ケアなど、身近なところに抜け毛を防ぐコツが隠されています。
体に必要な栄養バランスのとれた食事
産後はダメージを受けた体に栄養を届けるため、バランスのとれた食事を心がけてください。
ハリとコシのある髪を育てるためには、たんぱく質やビタミンB群、C、D、E、亜鉛、鉄などを積極的に摂るようにしましょう。
表.3 抜け毛対策におすすめな栄養素
たんぱく質 | 鶏肉、豚肉、魚、卵、大豆製品、乳・乳製品 |
ビタミンB2 | 緑黄色野菜、鶏肉、豚肉、魚、卵、アーモンド |
ビタミンB6 | にんにく、肉類、内臓系、野菜類、バナナ、じゃがいも |
ビタミンC | じゃがいも、ほうれん草、さつまいも、いちご、キウイフルーツ |
ビタミンD | 鮭、サンマなどの魚類、舞茸やしいたけなどのきのこ類 |
ビタミンE | 植物油、ナッツ類(アーモンド、くるみ、カシューナッツ、落花生) |
亜鉛 | 牡蠣、牛肉、豚レバー、大豆製品、乳製品、いりごま |
鉄 | 鶏・豚レバー、牛肉、赤身魚(いわし、かつお)あさり水煮缶、卵 |
たんぱく質およびビタミンB群、亜鉛、鉄は、肉や魚介類、卵などの動物性食品に多く含まれています。
ビタミンCは野菜や果物全般、ビタミンDは魚やきのこ類、ビタミンEは油脂類、ナッツに多いです。
毎日定期的な摂取が難しい場合は、サプリメントも活用してOKです。
十分な睡眠をとるようにする
産後は子どもの面倒を見るのに、まとまった睡眠時間の確保が難しくなります。
ついつい自分のことが後回しになりがちですが、体調を最優先して、無理せず休息をとってくださいね。
子どもが寝てる間やパパが休みの日はママも一緒に休みましょう。
お互い交代で自分の時間を持つなど、息抜きも必要です。
家事が少し残っていたとしても、続きは気持ちに余裕があるときでOK!
敏感・乾燥肌用シャンプーを使う
産後の抜け毛対策には、敏感肌・乾燥肌用のシャンプーを使うことも一つの方法です。
アミノ酸系やベタイン系の成分を含むシャンプーは、頭皮の刺激になりにくく、髪のうるおいを保ちます。
ココイルグルタミン酸TEA、コカミドプロピルベタインなどが目印です。
- アミノ酸系シャンプーの成分
ココイルグルタミン酸TEA
ラウロイルメチルアラニン酸Na
ココイルグリシンK など
名前に「グルタミン酸、アラニン、グリシン」などがつくのが特徴です。
アミノ酸系シャンプーは、弱酸性で低刺激、髪のたんぱく質を守りながら洗えるのが特徴です。
- ベタイン系シャンプーの成分
コカミドプロピルベタイン、
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン
ココアンホ酢酸Na など
ベタイン系シャンプーは安全性が高く、低刺激で髪のうるおいを保ちながら洗えるのが特徴です。
頭皮ケアをする
産後の抜け毛には頭皮ケアもおすすめです。
入浴時やその後、育毛剤や頭皮保湿美容液など使い、頭皮全体をマッサージしておくと、血行がよくなり、毛髪への栄養が届きやすくなります。
頭皮と髪にやさしいヘアブラシを使うのもいいですね。
耳の周りに両手を置き、頭皮を上に向かって引き上げる。
両手の指を頭頂部付近に置き、頭皮を左右と前後に動かします。
髪型を変えてみる
産後の抜け毛が気になるときは、思い切って髪型を変えてみることも気分転換になります。
分け目をいつもと逆にする、髪を結ぶ、ターバンなどのヘアアイテムを使って気になる部分を隠す、帽子をかぶるという方法もあります。
今まで試したことのないショートヘアやボブヘアは、生え際や地肌が目立ちにくく、赤ちゃんのお世話をするときは結ぶなど、簡単なヘアアレンジも楽しめますよ。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は産後はげの原因と対策についてご紹介しました。
妊娠中と産後のホルモンバランスの変化が、抜け毛の大きな原因の一つですが、環境の変化やダイエット、ストレスなどさまざまな原因が複雑に絡みあって、女性の抜け毛は起こります。
1年以上経っても症状が治まらない場合は、ほかの要因が隠れている可能性もあります。
変化が見られないときは、一度専門のクリニックを受診してみることをおすすめします。
当院ではAGA治療(薄毛治療)のカウンセリングがオンラインで行えます。
来院不要で、ご自身のペースに合わせた治療が可能です。電話やLINEでも問い合わせ可能なので、ぜひ気軽にご相談ください。
AGA・薄毛治療詳細はこちら
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苅部 淳Karibe Jun理事長
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- 略 歴
-
順天堂大学医学部卒業東京大学附属病院形成外科 入局埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教福島県立医大付属病院 形成外科寿泉堂総合病院 形成外科山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長東京大学附属病院 精神科
- 専 門
-
日本形成外科学会形成外科専門医日本抗加齢学会専門医日本医師会認定産業医
- 専門分野
-
形成外科一般、マイクロサージャリー、リンパ管吻合術、乳房再建術、性適合手術、美容外科手術、静脈瘤、レーザー治療など。
美容外科手術、レーザー、ボトックス、ヒアルロン酸等
大手美容外科クリニックで長年にわたり研鑽を積み、形成外科専門医として医師の診療、指導にあたっている。
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