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ヒアルロン酸を溶かすデメリットとリスクを徹底解説

2026.05.26

ヒアルロン酸を溶かすとはどういうこと?仕組みと基礎知識

ヒアルロン酸注射は、ほうれい線・涙袋・唇・こめかみなど、さまざまな部位のボリュームアップや輪郭形成に使われる、美容医療の中でも広く知られた施術です。しかし、「思ったより入れすぎてしまった」「左右差が気になる」「硬さやしこりが残った」など、仕上がりに満足できないケースも少なからずあります。そのようなときに選択肢となるのが、ヒアルロン酸を溶かす処置(ヒアルロニダーゼ注射)です。

この記事では、ヒアルロン酸を溶かす処置の仕組みから、気になるデメリット・リスク・費用・よくある疑問まで、医療的観点をふまえながら丁寧に解説します。「溶かすことを検討しているけれど不安」という方に、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。

ヒアルロン酸を溶かす処置(ヒアルロニダーゼ)の仕組み

ヒアルロニダーゼとは?

ヒアルロン酸を溶かすために使われるのは、ヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)という酵素製剤です。ヒアルロニダーゼは体内に自然に存在する酵素で、ヒアルロン酸の分子鎖を切断・分解する働きを持ちます。注射で皮下に投与すると、その部位に残存するヒアルロン酸が分解・吸収されていきます。

美容医療では、注入したヒアルロン酸を修正・除去したい場合や、血管塞栓などの緊急事態への対処として使用されます。外科的に取り出すのではなく、薬剤の力で溶解できるのがヒアルロン酸注射の大きな特徴のひとつです。

また、ヒアルロニダーゼにもいくつか種類があります。

従来は羊や牛などの動物由来成分から作られた製剤が多く使用されていましたが、近年では遺伝子組換え技術によって製造された製剤を使用する施設も増えています。

動物由来製剤は長く使用されてきた実績がある一方で、アレルギー反応のリスクが比較的高いとされることがあります。そのため、クリニックによっては事前にアレルギーテストを行う場合があります。

一方、遺伝子組換え製剤は動物由来成分を含まないため、アレルギーリスク低減が期待される製剤として使用されることがあります。

また、ヒアルロニダーゼ自体だけではなく、「どのヒアルロン酸を溶かすか」も重要です。ヒアルロン酸製剤によって硬さや架橋構造(ヒアルロン酸同士の結合の強さ)が異なるため、同じ量のヒアルロニダーゼでも分解のされ方には差が出ることがあります。

溶けるまでの時間と経過

ヒアルロニダーゼを注射すると、通常数時間〜24時間以内に分解が始まり、1〜2日程度でヒアルロン酸の多くが分解されるとされています。ただし、使用したヒアルロン酸の種類・量・注入部位・注入からの経過時間によって、溶けるスピードや完全に溶解されるまでの時間は異なります。

また、ヒアルロン酸は製品によって架橋度(分子の結合の強さ)が異なります。架橋度が高いほど分解に時間がかかる場合があり、複数回の処置が必要になることもあります。

特に、注入後長期間経過したヒアルロン酸は組織になじんでいることがあり、1回の処置だけでは十分に除去できない場合があります。そのため、状態を確認しながら段階的に調整を行うこともあります。

これだと「種類だけ足した」ではなく、後半の「溶ける時間」の説明にも自然につながります。あと「ヒアルロニダーゼ=何でもすぐ完全に溶ける」誤解も減らせます。

ヒアルロン酸を溶かすデメリット・リスク一覧

ヒアルロニダーゼは修正手段として有用ですが、決して「手軽にリセットできる簡単な処置」ではありません。デメリットやリスクをしっかり把握しておくことが大切です。

① 狙い通りの量だけを溶かすことが難しい

ヒアルロニダーゼは注入した部位周辺に広がりながら作用するため、「ここだけ少し減らしたい」という局所的なコントロールが難しいという側面があります。意図した以上の量が溶けてしまい、注入前より凹んだように感じられるケースもあります。

とくにもともとボリュームが少ない部位(涙袋・こめかみ・唇など)では、溶解後の仕上がりのイメージを施術前にしっかり共有しておくことが重要です。

② もともとの自然なヒアルロン酸まで分解される可能性がある

体内には、自然由来のヒアルロン酸が皮膚や関節などに存在しています。ヒアルロニダーゼは注入物だけでなく、もともと体にあるヒアルロン酸にも作用する可能性があります。通常は体内で再産生されるため大きな問題にはなりにくいとされていますが、一時的に肌の弾力やハリが低下したと感じる方もいます。

③ アレルギー反応のリスク

ヒアルロニダーゼは動物(ウシや羊など)の精巣や卵巣から抽出された酵素製剤であることが多く、ごくまれにアレルギー反応(発赤・かゆみ・じんましん・まれにアナフィラキシー)が起きる可能性があります。アレルギー体質の方や、過去にヒアルロニダーゼを使用したことがある方は、事前に医師へ必ず申告してください。

施術前にパッチテストを行うクリニックもありますが、緊急時(血管塞栓の場合)はパッチテストを省略することもあります。

④ 一時的な腫れ・内出血・痛み

ヒアルロニダーゼの注射自体による腫れ・内出血・刺入部の痛みが生じることがあります。ダウンタイムは比較的短いことが多いですが、注入部位や個人差によっては数日〜1週間程度続く場合もあります。

⑤ 完全に溶けないことがある

施術から時間が経過したヒアルロン酸や、架橋度の高い製品は分解しにくい場合があります。また、ヒアルロン酸と周囲の組織が癒着しているケースでは、1回の処置で完全に除去できないこともあります。複数回の処置が必要になる可能性も事前に理解しておきましょう。

⑥ 溶解後に再注入する場合のタイミング

「溶かしてすぐに打ち直したい」という方も多いですが、ヒアルロニダーゼが残存している状態で再注入すると、新しいヒアルロン酸も溶けやすくなってしまいます。一般的には溶解処置から2〜4週間程度の間隔を置いてから再注入することが推奨されています。

どんな場合にヒアルロン酸を溶かすことが検討される?

修正が求められる主なケース

  • 仕上がりのボリュームが多すぎた・不自然に感じる
  • 左右差・非対称が気になる
  • しこりや凹凸が残っている
  • ヒアルロン酸が浅い層に入り皮膚が青白く見える(チンダル現象)
  • 血管への誤注入が疑われる緊急時の溶解(血管塞栓への対応)

とくにチンダル現象(皮膚が青みがかって見える状態)は、ヒアルロン酸が皮膚の浅い層に入ってしまったときに起こりやすく、溶解処置の適応として比較的多いケースです。目の下(涙袋周辺)への注入で見られることがあります。

向いている方・慎重に検討すべき方

溶解処置が向いている方

  • 注入結果に明らかな左右差や過剰感がある方
  • チンダル現象やしこりが生じている方
  • 医師が修正の必要性を認めた方
  • 再注入前に一度リセットしたい方

慎重に検討すべき方

  • アレルギー体質の方・過去にヒアルロニダーゼでアレルギーが出たことがある方
  • 妊娠中・授乳中の方(安全性データが不十分なため)
  • 「少しだけ減らしたい」という繊細な調整を求める方(コントロールの難しさを理解した上で)
  • 注入からまだ日数が浅く自然な馴染みの経過中である方

費用の目安

ヒアルロン酸の溶解処置(ヒアルロニダーゼ注射)は自由診療(保険適用外)となります。緊急性の高い血管塞栓への対応を除いては、美容目的の修正として扱われます。

費用はクリニックや注入量によって異なりますが、一般的には1部位あたり1万円〜3万円前後を目安にしているクリニックが多いとされています。複数部位・複数回が必要な場合は費用が増える場合もあります。カウンセリング時に明確な料金説明を受けるようにしましょう。

なお、BIOTOPE CLINIC 白金ではヒアルロン酸注射および溶解処置について個別にご相談を受け付けています。仕上がりのご希望・既往歴・使用製剤の種類などをふまえて、専門医が適切な方針をご提案いたします。気になる方はお気軽にご相談ください。

ヒアルロン酸溶解に関する学術的な背景

ヒアルロニダーゼの安全性・有効性については、これまで複数の臨床報告が蓄積されています。たとえば皮膚科・形成外科領域の文献では、ヒアルロン酸フィラー注入後の合併症(血管塞栓など)に対するヒアルロニダーゼの早期使用が、組織障害の軽減に有効であるとする報告が多数あります。米国皮膚外科学会(ASDS)などのガイドラインでも、血管塞栓が疑われる場合の第一選択として早急なヒアルロニダーゼ投与を推奨しています。

また、ヒアルロニダーゼのアレルギー発生率は、文献によれば0.05〜0.1%程度と低いとされています(報告によって数値は異なります)が、ゼロではないため、医師による問診と投与後の経過観察は欠かせません。

ヒアルロン酸を溶かす前に大切なのは「本当に溶かすべきか」の判断

ヒアルロン酸の仕上がりに違和感がある場合でも、すぐにヒアルロニダーゼで溶かすことが最善とは限りません。

注入直後は腫れやむくみが残っていることがあり、数日〜2週間ほどで自然になじむケースもあります。特に唇や涙袋などは、施術直後の印象だけで判断すると、必要以上に溶かしてしまう可能性があります。

一方で、明らかな血流障害が疑われる場合や、皮膚の色調変化、強い痛み、チンダル現象、しこり、過剰注入による不自然さがある場合は、早めの診察が必要です。

大切なのは、「溶かすかどうか」だけでなく、

・本当にヒアルロン酸が原因なのか
・腫れや内出血の経過なのか
・どの層に入っている可能性があるのか
・全部溶かすべきか、部分的に調整すべきか
・再注入まで見据えた設計が必要か

を診察で見極めることです。

ヒアルロニダーゼは、単なるリセット処置ではなく、次の仕上がりにつなげるための「修正設計」の一部と考えることが重要です。

BIOTOPE CLINIC 白金で大切にしている考え方

BIOTOPE CLINIC 白金では、ヒアルロン酸を溶かす処置を行う際、「元に戻す」ことだけを目的にするのではなく、今後どのような状態を目指すのかまで含めて診察しています。

ヒアルロン酸が多すぎるように見えても、実際には骨格の支えが不足していたり、脂肪の下垂や皮膚のたるみが重なっている場合もあります。その場合、単純にすべてを溶かすと、かえって疲れた印象やくぼみが目立つことがあります。

また、他院で注入されたヒアルロン酸の場合、使用製剤や注入量、注入層が分からないこともあります。そのため、経過や見た目、触診、必要に応じた診察をもとに、慎重に方針を決めることが大切です。

「全部溶かす」のか、「一部を調整する」のか、「まずは経過を見る」のか。

この判断によって、最終的な仕上がりは大きく変わります。

ヒアルロン酸を溶かす処置は、失敗をなかったことにする処置というより、顔全体のバランスを見直す機会でもあります。

よくある質問

Q. ヒアルロン酸を溶かした後、肌はもとに戻りますか?
多くの場合、溶解後は注入前の状態に近い形に戻るとされています。ただし、長期間にわたってヒアルロン酸が入っていた場合、組織に変化が生じている可能性もあるため、完全に元通りになるとは断言できません。詳しくはカウンセリング時に担当医にご確認ください。
Q. 溶かした後すぐに打ち直しはできますか?
ヒアルロニダーゼが残存している間に再注入すると、新たなヒアルロン酸も分解されやすくなる可能性があります。一般的には溶解処置から2〜4週間程度の間隔を空けることが推奨されています。再注入のタイミングは必ず医師の判断に従ってください。
Q. ヒアルロン酸を溶かすのは痛いですか?
ヒアルロニダーゼの注射自体は、通常のヒアルロン酸注入と同程度の軽い痛みが伴うことがあります。クリニックによっては麻酔クリームや局所麻酔を併用して痛みを軽減する場合もあります。痛みへの不安がある方は事前にご相談ください。
監修医師

苅部 淳 Karibe Jun 理事長

 

略 歴
順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
福島県立医大付属病院 形成外科
寿泉堂総合病院 形成外科
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
東京大学附属病院 精神科
各病院での形成外科・美容外科での臨床経験を経て形成外科専門医取得
2019年 麹町皮ふ科・形成外科クリニック 開院(千代田区市ヶ谷)
2021年 BIOTOPE CLINIC 白金 開院(港区白金)
資 格
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本抗加齢学会 専門医
日本医師会認定産業医
アラガン社 ボツリヌス注射 VST認定医
アラガン社 ヒアルロン酸 VST認定医
所属学会
日本形成外科学会 / 日本美容外科学会(JSAPS) / 日本美容皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会 / 日本再生医療学会 / アメリカ形成外科学会 / アメリカ抗加齢医学会 / 日本東洋医学会 / 日本人類遺伝学会 / GID学会 / 日本マインドフルネス学会 ほか
受 賞
東京大学形成外科 最優秀賞(2016年)
日本形成外科学会 優秀賞(2018年)
ASPS(アメリカ形成外科学会)優秀演題発表(2018年)
取り組み
外見のケアだけでなく、食事・運動・睡眠など生活習慣の見直しから内側を整える「予防医療」に注力。オーソモレキュラー栄養療法・遺伝子検査・腸内細菌検査を取り入れ、体質に合ったオーダーメイドの健康アプローチを提供。英語による診療・美容施術カウンセリングにも対応。英語での国際学会発表も行っており、海外の学術情報を継続的に診療へ反映している。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。気になる症状・お悩みがある場合は専門医にご相談ください。
参考:日本美容外科学会(JSAPS)日本皮膚科学会

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