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マンジャロ

マンジャロは2022年9月承認、2023年4月発売された、糖尿病に高い効果を発揮する注射薬です。

日本イーライリリー株式会社(本社:神戸)が販売承認を受け製造を担い、田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪)が販売・流通を担当します。(マンジャロの医療従事者向け情報提供は両社が共同で担います)

糖尿病への注射薬と言えばインスリン製剤が代表格ですが、マンジャロは非インスリン製剤です。

マンジャロは持続性GIP/GLP-1受容体作動薬とされるもので、膵臓からインスリンの分泌やグルカゴン分泌を促す作用を持ちます。

形状は薬剤と針がセットされたペン型をしており、週1回使用により効果を発揮しますので、患者さんの負担は少ないと考えられるでしょう。

マンジャロの大きな特徴は、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の受容体2タイプへ作用する点にあり、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬になります。

非常に期待される薬であり、日本イーライリリーの事業本部長メアリー・トーマス氏は「新しいクラスの治療選択肢としてマンジャロを届けたい」、田辺三菱製薬の営業本部長吉永克則氏は「マンジャロが2型糖尿病とともに歩む人々にとって希望ある選択肢となるよう、情報提供活動によりマンジャロの適性使用を推進したい」と述べています。

https://news.lilly.co.jp/PDFFiles/2022/22-39_co.jp.pdf 日本イーライリリー・田辺三菱製薬 Press Releaseより引用)(発言内容は抜粋・要約しております)

GIP/GLP-1受容体作動薬とは

生物が外界および体内における何らかの刺激を受け取る構造体を受容体とよび、GIP/GLP-1受容体作動薬とは2つのホルモン(GIP/GLP-1)受容体に作用する性質を持つ薬、となります。

GIPおよびGLP-1ならびに受容体に関しての解説

基礎的な内容から始めましょう。

そもそも私たちは、「食物の摂取」および「消化・吸収」そして「様々な化学反応」で血液中にブドウ糖を存在させています。

ブドウ糖は細胞のエネルギー源になりますが、各細胞はダイレクトにブドウ糖を血液中から取り込めません。

ブドウ糖取り込みを進める上で重要となるのがインスリン(ホルモンの一種)です。
膵臓から分泌されるインスリンが機能して、はじめて細胞はブドウ糖取り込みが可能となります。

そして、血液中のブドウ糖を血糖とよび、「血糖値の高い状態=高血糖」が続く状態を糖尿病とよびます。

血糖値の高い状態は血中タンパク質を糖化させ、最終的に産生されるのがAGEs(蛋白糖化反応最終生成物)です。

この物質は悪玉として名高く、体温による熱変性(糖とタンパクの異常な結びつき)産生を由来に「身体のこげ」とよばれます。

状態の放置は血管や神経に悪影響をおよぼし、最終的には「糖尿病性神経障害」「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」とよばれる3大合併症へと進行する可能性を否定できません。

また、細い血管のみならず太い血管も影響を受け、「脳卒中」「心筋梗塞」リスクが高まる点に注意が必要です。

GIP/GLP-1に話をもどします。
これらは2つのホルモンを表しますので、それぞれに分けて解説しましょう。

ちなみにホルモンは情報伝達物質(化学物質)とされるもので、内分泌臓器および組織で生成後、血液中への分泌および血流により標的とする器官へ運搬され、生命機能を維持する働きを担います。

ホルモンの理解を深めたところで、さっそくGIPの解説を始めましょう
GIPはグルコース依存性インスリン促進物質とよばれるもので、腸管ホルモンの一種となります。

腸管ホルモンは胃や十二指腸および小腸における線細胞組織で産生され、消化液分泌や運動機能の調整を担うものです。

食事摂取により腸壁からGIPが血液中に内分泌され、その刺激により膵臓のインスリン分泌が促進されます。

血中ブドウ糖はインスリン分泌により細胞へ運搬され、高血糖状態にあるならば血糖値を下げてバランスを取ります。

さらにGIPはグルカゴン(血糖上昇を担うホルモンの一種・膵臓のα(アルファ)細胞で産生)分泌を促す働きを持ち、その血糖上昇機能から糖尿病に向かないイメージですが、インスリンとバランスを取れば糖尿病治療に高い効果を表すと理解してください。

その理由として、グルカゴンは血液中に分泌された後、肝臓や脂肪細胞において脂肪の分解が促され、熱産生による「エネルギー消費アップ・ホルモン」である点が挙げられます。

さらに食欲の抑制作用がありますから、抗肥満ホルモンとして注目する必要があるでしょう。

つづいてGLP-1を解説します。

グルカゴン様(よう)ペプチド-1とよばれ、GIPと同じく腸管ホルモンの一種で、インスリン(膵臓のランゲルハンス島で作られるホルモン)の分泌促進により、高血糖状態の改善を目指すものです。

GLP-1は食事の摂取が刺激になり腸壁から分泌され、血液の流れにより全身に運ばれ、さまざまな臓器へ作用を与えます。

脳への働きかけで、GIPと同じく満腹感増大効果から食欲抑制につながるとともに、心臓への働きかけで心血管保護作用を持ち、メリットはダイエット効果および心疾患リスクの低減と言えるでしょう。

項目のまとめですが、GIP/GLP-1受容体作動薬は2つのホルモン(GIP・GLP-1)を作動させ、結果的にインスリンやグルカゴンなどのホルモン分泌を促し、複合的に高血糖状態の解消を目指す薬となります。

マンジャロの効果について

2型糖尿病治療薬として発売されたマンジャロですが、その効果はどのようなものでしょう?
ちなみに1型糖尿病が自己免疫異常により生じるのに対して、2型糖尿病は生活習慣により生じる糖尿病です。
さっそく解説を進めます。

効果の具体例

マンジャロの効果を列記しましょう。

・ 空腹時および食後血糖値の改善
・ 1週間効果が持続
・ グルカゴン分泌抑制
・ 食欲抑制効果
・ 体重減少効果
・ 心疾患発症リスク低減
・ 腎機能障害発症リスク低減

GLP-1受容体作動薬は以前から処方(2010年より国内で可能)されており、「ビクトーザ注射薬」「オゼンピック注射薬」「トルリシティ注射薬」などが使用されてきました。

そしてマンジャロは、GLP-1受容体のみならずGIP受容体へも働きかけを持つ点が注目されており、血糖値の抑制にプラスして心血管疾患や腎機能悪化を予防する効果が臨床試験で立証されたのです。

具体的にマンジャロの効果を記載しましょう。
(日本での臨床試験データ:SRPUSS J-mono試験:日本人2型糖尿病患者636例対象)

マンジャロ52週投与によるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー:ヘモグロビンと糖の結合割合いを表す数値)の変化を見ると、マンジャロ(チルゼパチド)は従来のGLP-1受容体作動薬トルリシティ(デュラグルチド)より優位な数値を示しました。(※チルゼパチドはマンジャロの一般名、デュラグルチドはトルリシティの一般名)

変化量の数値について

マンジャロ投与による変化量を表組みしましょう。
52週投与におけるHbA1c変化量

トルリシティ(デュラグルチド)0.75mg 1.3%減少
マンジャロ(チルゼパチド)5mg 2.4%減少
マンジャロ(チルゼパチド)10mg 2.6%減少
マンジャロ(チルゼパチド)15mg 2.8%減少

糖尿病の合併症予防にはHbA1cの数値として7.0を下回る必要があります。達成率を見ましょう。

トルリシティ(デュラグルチド)0.75mg 67%
マンジャロ(チルゼパチド)5mg 94%
マンジャロ(チルゼパチド)10mg 97%
マンジャロ(チルゼパチド)15mg 99%

トルリシティが70%以下の達成率なのに対しマンジャロは90%以上と極めて好成績を収めています。
さらに体重の減少効果を見ましょう。

トルリシティ(デュラグルチド)0.75mg 0.5kg減少
マンジャロ(チルゼパチド)5mg 5.8kg減少
マンジャロ(チルゼパチド)10mg 8.5kg減少
マンジャロ(チルゼパチド)15mg 10.7kg減少

52週はほぼ1年間ですが、マンジャロ15mg投与で10.7kg減少は優れた効果と言えるでしょう。

マンジャロの使用方法について

マンジャロは注射薬です。
使用には週1回の皮下注射が必要となります。

使用に際して、ドクターの説明を受けた患者さん自身が行うこととなりますが、難しく考える必要はありません。
アテオスという専用ペンを使用して週1回注射すればよいだけです。

ステップ1

アテオスの底面にあるグレーのキャップをはずしてください。

ステップ2

底面を皮膚にあてて、ロックを解除してください。
(透明な底面を皮膚に当てたまま、緑色の目印をロック解除の方向に止まるまで回せばロック解除)
皮膚に対してアテオスを垂直に当てるのがポイントです。
専用ペンを持つ際は、強く中央部分を持たないでください。(針が戻らない可能性あり)

ステップ3

紫色の注入ボタンを押せばマンジャロがオートマチックに皮下へ入ります。
注入ボタンを押してそのまま待ってください。
1回目のカチッという音で注射スタート、2回目のカチッという音で注射は終了します。(薬液注入は10秒以内に終了)
カチッと音が聞こえないケースでは、透明部分でグレー色のゴムが見えれば薬液注入の完了を示します。

マンジャロの使用は、2.5mgの週1回投与からスタートです。
4週間にわたって2.5mg週1回を続けたら5mg週1回へ変更をしてください。

5mg週1回を4週間続けてみて、十分な結果が得られればそれでよし、得られない場合には7.5mg週1回を4週間、結果により10mg週1回を4週間、結果により12.5mg週1回を4週間、結果により15mg週1回を続けることとなります。

ちなみに15mgは臨床試験で有効性が確認される最大量である点を理解してください。

専用注射器となるアテオスは1本に1回分のマンジャロが入っており、使い切りとなっています。

針の取り付け等は一切不要で、細い針が装着されている点が特徴です。
使用前に必ず注射器のラベルを確認して「マンジャロと表示されている」「内容量(mg表示)が合っている」の2点をしっかりと確認してください。

投与場所(注射場所)は、上腕部もしくはお腹および太ももとなっており、毎回同じ場所に打たずに少しずらす必要があります。

また、投与(注射)する際は消毒が必要です。
消毒用アルコールを使用して消毒をしてから行うようにしてください。

マンジャロの使用は高血糖状態の改善が目的です。
そのため血糖管理が順調な場合、もしくはその逆となる場合には処方を見直す可能性があります。

気づいた点や不安に思う事案は、必ずドクターに相談して解決を目指しましょう。

マンジャロの副作用について

マンジャロにはいくつかの副作用報告がなされています。
注意すべき副作用について解説をしましょう。

副作用(重要度・大)

マンジャロ(一般名チルゼパチド)の副作用(重大とされるもの)を項目ごとに説明します。

低血糖

マンジャロの重大な副作用とされており、出現頻度は不明です。
極度の空腹感や顔面蒼白、動悸・息切れ、頭痛・めまい、嘔吐感、脱力感、視覚以上などがマンジャロ投与後に現れたら注意しなければなりません。
(車の運転中にこれらの症状が現れた場合には、速やかに運転を中止してください)

低血糖状態の改善には糖質を含む食品・飲料の摂取が効果的です。
具体的にはブドウ糖を含む清涼飲料水(200ml程度)、もしくは砂糖(20g程度)が目安となります。

急性膵炎

膵臓は血液中の糖分調整機能を持つホルモン(インスリン・グルカゴン)を作り出し、血糖値管理に重要な働きをします。

この膵臓が速やかな経過により炎症を起こす状態を急性膵炎としており、マンジャロ投与による出現率は0.1%未満です。

マンジャロの投与後に、嘔吐を伴う継続的な強い腹痛が現れた場合はクリニックで適切な処置が必要となります。
(膵炎と判断されたらマンジャロの再投与は控えてください)

胆管炎・胆のう炎・胆汁うっ滞性黄疸

マンジャロ投与による胆管炎の出現頻度は0.1%未満、胆のう炎・胆管炎の出現頻度は不明です。
極度の腹痛が投与後に現れた場合は使用を中止して、クリニックで精密検査を受けてください。

その他副作用

マンジャロ投与による副作用(重要度・中~小)を列記します。

・嘔吐
・下痢
・悪心
・便秘
・腹痛
・消化不良
・食欲減退

これらの異常が認められた場合は「投与の中止」など適切なアクションが必要です。
十分に注意してください。

まとめ

マンジャロはGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の2タイプ受容体へ作用する点が大きな特徴です。

これまで糖尿病治療薬の中心的な存在とされてきたのは「トルリシティ(デュラグルチド)」や「オゼンピック(セマグルチド)」ですが、これらはGLP-1受容体のみの作用なので、比較試験をみればマンジャロに軍配が上がります。

マンジャロの効果は「インスリン分泌促進→高血糖状態の改善」および「食欲減退作用→ダイエット効果」である点に注目してください。

副作用として報告される多くは消化器症状とされ、吐き気・嘔吐や下痢になります。
効果・副作用の正確な理解と適性使用が求められるでしょう。

費用面は従来の薬と比較すれば高額ですが、高血糖状態の改善とダイエット効果を期待できるマンジャロはベストな選択と言えます。
気になる方は、当院へご相談ください。

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