ケナコルト注射(一般名:トリアムシノロンアセトニド)は、ステロイド製剤の一種です。皮膚内部の過剰な炎症や線維組織の異常な増殖を抑える働きがあり、ケロイドや肥厚性瘢痕、ニキビ跡のしこりなどの治療に用いられています。
形成外科の臨床では、ケナコルト注射は「皮膚が盛り上がって固くなった状態」をなだらかに整えるために選択されることが多い治療です。私は形成外科専門医として16年の臨床経験の中で、術後瘢痕や注入後のしこりに悩む患者様へ、この治療を安全に提供してきました。
注射は短時間で行える一方、薬剤の効果は部位や体質によって異なるため、経験豊富な医師が適応を見極め、必要最小限の薬剤量を使用することが安全性に直結します。
ケナコルト注射は、次のような症状や悩みに適しています。
ニキビ跡が硬くしこりになり目立つ
ピアス穴や外傷の傷跡が赤く盛り上がる
ケロイド体質で、同じ部位が繰り返し炎症を起こす
手術や美容施術後に皮膚が硬く盛り上がった
ヒアルロン酸や脂肪注入のしこりを改善したい
私の臨床経験では、美容外科や皮膚科で施術を受けた方が、術後に発生したしこりに悩んで来院されるケースも多く見られます。特にヒアルロン酸や脂肪注入後の硬結は自然に吸収されにくいため、ケナコルト注射が有効です。
ケナコルト注射の特徴は、盛り上がった皮膚をなだらかにし、赤みや炎症を抑える点にあります。
異常に増殖した線維組織を萎縮させ、盛り上がった部分を平らに近づけます。これにより、皮膚の表面がなめらかに整ってきます。
内部の炎症反応を抑えることで、見た目の赤みや違和感を改善します。ケロイド体質の方にとっても有効な治療法です。
注射後、数日〜1週間程度でしこりが柔らかくなる場合があります。部位や大きさによっては数回必要ですが、短期間で変化を実感しやすい治療です。
症状によっては数回の治療で改善が期待できます。何度も繰り返す必要がある治療ではないため、患者様の負担も軽減されます。
ケナコルト注射は外来で短時間に行えるシンプルな治療です。
カウンセリング・診察
医師が症状を確認し、適応を判断します。
対象部位の確認と消毒
感染予防のために入念に消毒を行います。
極細針で薬剤を注入
痛みを抑えながら、慎重に薬剤を入れます。
経過観察
数週間後に効果を確認し、必要に応じて再注射を行います。
所要時間は5〜10分程度で、基本的に麻酔は不要です。
ケナコルト注射は高い有効性を持ちますが、副作用の可能性もあります。
注射部位の赤み・腫れ・痛み・内出血
組織が過度に萎縮してへこむ
色素脱失(白抜け)や色ムラ
ステロイド過敏症(かゆみ・かぶれなど)
これらの副作用は、適切な薬剤量と投与間隔を守ることで予防可能です。特に「へこみ」や「色抜け」は過剰投与で起こりやすいため、経験のある医師に任せることが重要です。
ケロイドやしこりの治療には、レーザーや手術なども選択肢となります。
レーザー治療:赤みや炎症の改善に有効。ただし盛り上がりそのものには限界あり。
手術(切除):大きなケロイドやしこりに適応。ただし再発リスクがある。
ケナコルト注射:短時間・低侵襲で効果が期待でき、再発リスクも比較的低い。
患者様の状態や希望に応じて、単独治療か組み合わせ治療かを検討することが最適です。
当院での料金は以下の通りです。
ケナコルト注射 1回:11,000円(税込)
範囲や必要回数によって異なるため、詳細はカウンセリングでご案内します。
私が経験した印象的な症例の一つに、美容外科で脂肪注入を受けた後に大きなしこりが残った患者様がいます。皮膚は硬く、触れると違和感が強く出ていましたが、2回のケナコルト注射で硬結が大幅に改善し、自然な仕上がりになりました。
このように、患者様一人ひとりに合わせた調整が効果を最大化する鍵です。
Q1. ケナコルト注射は痛いですか?
A1. 極細の針を使用するため、痛みは軽度です。ほとんどの方が麻酔なしで受けられます。
Q2. 何回注射すれば効果が出ますか?
A2. 症状によって異なりますが、数回治療が必要です。
Q3. 副作用が心配ですが安全ですか?
A3. 適切な薬剤量を守れば安全性は高いですが、適正な量や回数で行わないとへこみのリスクもあります。経験豊富な医師の診察を受けることが大切です。
Q4. 他院でのしこりも治療できますか?
A4.はい、まず どのようなしこりかを診察で判断したうえで、治療が可能かどうかをご案内いたします。
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