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脇汗が多いのは多汗症?原因や治療について解説!

2024.09.20

日常生活に支障をきたすほど汗をかいてしまう人は、多汗症かもしれません。

「ワキ汗が多くて体臭が気になる」「季節問わずよく汗をかいて困る」などのお悩みはありませんか?

汗っかきと多汗症の違いに明確な線引きはありませんが、汗が多くて日常生活に支障をきたしている場合は多汗症と診断される場合が多いです。

今回は多汗症の症状や原因、手術する場合はどのような施術内容なのかを解説していきます。また多汗症は何科を受診すべきかや治療法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

脇の多汗症とは?

脇の多汗症とは、脇から多くの汗がでる症状のことで「腋窩多汗症」ともいいます。腋窩とは脇の下のくぼみのことです。
脇の下はもともと汗腺が多く汗をかきやすい上に、緊張などの精神的な刺激や運動によって体温が上がることで起こる温熱刺激により発汗が促進されます。

汗をかくことは、体にとってメリットが多く体温調整や、毒素排出、美容にとっても効果的です。
夏は特に熱中症対策や夏バテ防止になるなど、人の健康維持にとても役立っています。

しかし日頃から汗をかきやすく、どこに行くにもタオルが必要であったり、脇汗で周りの目が気になったりと日常生活に支障がでている際には治療が必要でしょう。

多汗症は人によってさまざまな原因があります。もともと何か疾患があり、その副反応で多汗症が発症している場合、緊張やストレスで発症する場合、汗の分泌が促される病気や状況でないにもかかわらず発症する場合です。

緊張で汗をかくことは、交感神経が活発になり汗の分泌が増加するため特に問題はありません。しかし汗の量があまりにも多いときには多汗症を疑ってもいいでしょう。

日常生活に支障がでている場合には、一度受診してみることをおすすめします。

また腋窩多汗症はワキガの原因にもなるため注意が必要です。ワキガとは脇からワキガ臭(悪臭)が発生する病気のことです。汗腺(アポクリン腺)から出た汗に含まれる脂質やタンパク質などを、常在菌によって分解されることで悪臭を生じさせます。

汗を止める治療は多汗症に効果的ですが、ワキガの臭いを抑えるためには汗を止めるだけでは不十分である可能性があります。臭いの原因をしっかりと特定した上で薬物治療や手術などを行っていくことが重要でしょう。

脇汗の種類とは?

脇汗には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があり、汗を出す仕組みや性質に違いがあります。
代表的な違いを以下の表に示しました。

エクリン汗腺 アポクリン汗腺
部位 全身 脇の下、乳輪、外耳道、肛門周辺
ニオイ なし あり
無色 乳白色
汗の成分 ほとんどが水分 タンパク質や脂肪を含む

それぞれについて、詳しく解説していきます。

エクリン汗腺

エクリン汗腺は全身に分布し、特に手のひらや足の裏などの皮膚表面に多く分布しています。

主に体温調整のために汗を出す汗腺ですが、精神的な緊張や交感神経の興奮によっても汗を分泌します。

エクリン汗腺から分泌される汗はほとんどが水分ですが、少量の塩分や尿素なども含まれており、この汗は基本的にサラサラとした無色透明の臭いのない汗です。

よく汗をかいた衣類を放置しておくと悪臭が発生しますが、これは衣類に付いたゴミやほこり、皮脂が汗と反応することで細菌が増え悪臭を発生させるため、汗自体は無臭となります。

そのため、エクリン汗腺から分泌される汗はワキガの原因にはなりません。むしろエクリン汗腺の分泌物には、体臭の原因となる細菌の増殖を抑制する働きもあります。

アポクリン汗腺

アポクリン汗腺は、脇の下や乳輪、外耳道や肛門周辺などの特定の場所にだけ分布しています。

最も分布が多いのは脇の下ですが、脇汗のほとんどはエクリン汗腺からでアポクリン汗腺からの汗は少量と言われています。

思春期以降に活発に機能し、タンパク質や脂肪を含んだ少し濁っている白色のベトベトした汗を分泌するのが特徴です。

またアポクリン汗腺は、感情的な刺激や性的興奮、痛みやストレスなどの要因から刺激され分泌します。

アポクリン汗腺はエクリン汗腺よりも深い位置に存在するため、汗を分泌する際に皮脂も一緒に分泌される場合が多く、これらが皮膚の常在菌と反応することでワキガの臭いの原因となります。

つまりワキガを治療する際にはアポクリン汗腺の発生を抑える、もしくはアポクリン汗腺を取り除くことが有効ということです。

脇の多汗症の症状

「日常に支障をきたすほどの過剰な発汗」が多汗症の症状です。

人によって症状や程度はさまざまですが、汗によって不快な臭いや皮膚トラブルを起こすケースがあります。

原発性腋窩多汗症と診断される場合は、原因不明の脇の発汗が6か月以上続いていることに加え、以下の6つの症状から2つ以上当てはまる場合に診断されます。

・最初の症状が25歳以下であること
・左右両方で発汗がみられること
・睡眠中は発汗が止まること
・1週間に1回以上多汗の症状がでること
・家族に多汗症の人がいること
・脇汗によって日常生活に支障をきたすこと

腋窩多汗症の場合は、ワキガの原因になるため注意しなければなりません。

また多汗症により、仕事や勉強に支障が出たり、対人関係に影響が及んだりとさまざまな精神的苦痛を感じる事も多いと言われています。

日常生活に支障をきたす前に、気になった場合は早めに専門医を受診するようにしましょう。

脇の多汗症の原因

脇汗が分泌される原因は「体温・気温が高くなった時」「緊張でストレスがかかった時」「辛いものを食べた時」と3つあります。

体温・気温が高くなった時(温熱性発汗)

高温な環境に居たり、運動したりすることで体の体温が上がり発汗を生じます。このことを温熱性発汗といい、体温を下げる目的で発汗が促されます。温熱性発汗の場合、エクリン腺という汗を出す汗腺が全身に分布していることから、特定の場所ではなく全身から汗がでます。

緊張でストレスがかかった時(精神性発汗)

極度の緊張状態になると、精神的ストレスがかかり発汗を生じます。このことを精神性発汗といい、足の裏や脇下など特定の部分にしか発汗しないのが特徴です。

香辛料のきいた辛いものを食べたとき(味覚的発汗)

辛いものや酸っぱいものを食べたときなど、味覚の刺激によって反射的に発汗を生じます。このことを味覚的発汗といい、特に額や鼻に汗をかきますがエクリン汗腺からの発汗のため全身から汗がでます。

そして腋窩では特に、体温・気温が高くなった時(温熱性発汗)と緊張でストレスがかかった時(精神性発汗)の両方の発汗様式で発汗すると言われています。

また原因がわからず脇が多汗になっている場合を、原発性腋窩多汗症といいます。遺伝が大きく関係していることや自律神経が乱れやすいことなどが要因として考えられると言われていますが、発生メカニズムなどは解明されていません。

このように脇の多汗症は一人ひとり原因が異なるため、まずは多汗症を専門にしている医療機関を受診してみましょう。

脇の多汗症の診断は何科?

脇の多汗症を診断するには、皮膚科の受診がおすすめです。

問診での診断が基本のため、自身の症状をきちんと伝えるようにしましょう。
皮膚科を受診することで、保険適応の塗り薬など治療方法が増えるため、自身の状況やライフスタイルにあった治療法を選択できます。

また、多汗症は適切な治療をすることで症状の改善が期待できますが、なかには医療機関を受診しても多汗症と診断されず治療できない場合もあるようです。そのため受診する際には、多汗症の治療を行っている皮膚科なのか、多汗症専門外来があるのかなど、多汗症について専門的な医療機関であるかどうか確認しておくと安心でしょう。

脇の多汗症の治療法

多汗症は主に「外用療法」「ボトックス治療」「手術」の3つの治療法があります。
原因や症状によって治療法は異なるため、自分の症状にあったものを見つけてみましょう。

外用療法

脇の多汗症の治療には、塗り薬で発汗を抑える方法があり主に以下2つの塗り薬があげられます。

「塩化アルミニウム溶液をつかった治療(汗の分泌を止める塗り薬)」
塩化アルミニウム溶液を脇に塗る方法で、汗腺内部にフタをするような形となり汗の出口を防ぐ働きがあります。
塗ってすぐに効果を実感でき2~3日効果が持続するため、ケアする頻度をなるべく減らしたい方におすすめです。
即効性があり手軽な塗り薬ですが、皮膚炎を起こしやすいというデメリットがあります。皮膚炎が現れた場合には、状態を確認しながら薄めて使用するなど工夫して治療を行いましょう。

「抗コリン薬による治療(アセチルコリンの働きを阻害する塗り薬)」
「ラピフォート」と「エクロック」2種類の抗コリン薬は、交感神経から伝えられる汗を出す指令をブロックすることで発汗を抑える効果があります。
1日1回塗るだけで長時間使用でき、保険適応での治療が可能な点が特徴です。
ただし、緑内障の方や前立腺肥大の方には使用できないことや湿疹を伴う可能性があることなどデメリットもあります。抗コリン作用による副作用が発生する場合もあるため注意しておきましょう。

それぞれの特徴をご紹介しましたが、自身の体質にあった塗り薬を選ぶことが大切です。必ず専門医に相談してください。

ボトックス注射

多汗症ボトックス注射とは、ボツリヌストキシン製剤(ボツリヌス菌の毒素)を注射することで汗の量を抑える施術のことです。

人間はアセチルコリンという神経伝達物質が放出されることで汗をかきます。

ボトックス注射にはそのアセチルコリンの放出を抑える働きがあるため、汗の量を抑制し多汗症に効果的とされています。

ボトックス注射は施術時間も10分程度と短いため、手軽に治療できる点で人気です。
体への負担は少ないですが、注射を細かく打っていくため個人差はありますが、痛みは伴います。麻酔も可能です。また、副作用として内出血があります。

また2012年から重度の脇多汗症へのボトックス治療は、基準を満たした場合のみ保険適応となっています。

体に傷が残らず、施術時間も少ないため人気の治療法ですが、注意点もあります。

ボトックス注射は、効果が現れるまでに1週間程時間がかかります。また持続期間が3~4か月のため継続的な治療が必要です。

即効性はなく、効果を持続させるためには再度施術が必要なため、金銭面も考えながら治療を検討しましょう。

また施術後1週間は、マッサージやサウナなど血行を促進する行為はボトックスの効果が半減する可能性があるため控えなければなりません。

ボトックス注射は体への負担が少なく、汗の量を抑えるには有効的で人気な治療方法ですが、効果を持続させるためには定期的な施術が必要なため注意点も踏まえた上で検討してみましょう。

手術

脇多汗症の手術には、汗腺剪除手術(せん除法)というアポクリン汗腺を取り除く方法が基本的です。

手術は局所麻酔で行われ、脇下のシワにそって皮膚を1か所約2.5〜4センチ程切開します。
切開場所から皮膚組織内のアポクリン汗腺を目で確認し、取り除くという術式で、手術時間は片方で30分~1時間程度で終わります。

3日目からシャワー浴が可能とされており、傷跡は脇のシワにそって切開するためほとんど目立ちません。

比較的短時間で終わり、医師が直接目で確認し除去する術式のため、完治率が高く人気の手術法となっています。
ただし、アポクリン汗腺を見分ける力が必要なため医師の知識や技術力が大事な手術となります。

自分が信頼できる先生を見つけることも大切でしょう。

以上主な3つの治療法についてご紹介しましたが、「飲み薬」という選択肢もあります。

保険適応である内服抗コリン薬が代表的な飲み薬であり、神経からの汗を出す指令を汗腺が受け取れないようにする役割を果たします。

しかし原発性局所多汗症診療ガイドラインによると腋窩多汗症については、飲み薬を使ってもよいが根拠がないという認識です。

そのため根本的な治療を目指すには、「外用療法」「ボトックス治療」「手術」の3つの方法から自分にあった治療方法を探すことをおすすめします。

脇汗が多いかもとお悩みなら、麹町皮ふ科・形成外科クリニック|BIOTOPECLINICへ

特に原因も分からず、大量な脇汗をかくことで日常生活に支障をきたしている方も多いのではないでしょうか。

脇汗を気にせず生活したい、どうしたら多汗症が治るのかわからないと不安に思っている方もいるはずです。

多汗症の改善方法には、外用療法(塗り薬)をはじめとしたさまざまな治療方法があります。

麹町皮ふ科・形成外科クリニックでは、保険診療も行っております。今まで多汗症で悩んでいた方にとって新たな選択肢になり得るかもしれません。

また豊富な経験を持つ医師が疾患全般に対応しておりますので、「体質だから」と諦めず、自分にあった治療方法を探してみてください。

監修医師

苅部 淳Karibe Jun理事長

苅部 淳 日本形成外科学会形成外科専門医
略 歴
順天堂大学医学部卒業
東京大学附属病院形成外科 入局
埼玉医大総合医療センター 形成外科・美容外科 助教
福島県立医大付属病院 形成外科
寿泉堂総合病院 形成外科
山梨大学附属病院形成外科 助教・医局長
東京大学附属病院 精神科
専 門
日本形成外科学会形成外科専門医
日本抗加齢学会専門医
日本医師会認定産業医
専門分野
形成外科一般、マイクロサージャリー、リンパ管吻合術、乳房再建術、性適合手術、美容外科手術、静脈瘤、レーザー治療など。
美容外科手術、レーザー、ボトックス、ヒアルロン酸等
大手美容外科クリニックで長年にわたり研鑽を積み、形成外科専門医として医師の診療、指導にあたっている。


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