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避妊効果以外のピルの働きは?メリット・デメリットが知りたい!
2023.01.20
ピルというと、避妊薬のイメージが強い方が多いですが、避妊効果以外にもピルには月経への影響以外にも嬉しい効果があります。
本記事ではピルが持つ役割や、メリット・デメリットの解説をしていきます。
なんとなくピルの服用を考えていた方もぜひこの記事でより理解を深めてくださいね。
ピルの役割はなに?
ピルは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが含まれている薬剤です。
含まれるエストロゲンの量によって、超低用量ピル・低用量ピル・中用量ピル・高用量ピルに分類されます。
世間で用いられるピルの種類は、低容量ピルが主流です。
昨今ではいくつかの目的で使用する方も増えてきたピルですが、本来は避妊のために開発されました。
そのほかにも、低容量ピルの種類によっては女性ホルモンの分泌に影響を与える効果が期待できます。
ピルの役割や効果について、より詳しく解説していくので参考にしてみてください。
避妊としての役割
ピルは避妊薬として開発されました。
その避妊効果は99%以上ともいわれ、いくつかある避妊方法の中でも高い効果が期待できます。
緊急避妊薬として、避妊に失敗してしまった場合に服用するピルのイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
避妊に失敗してしまった時だけではなく、普段からピルを服用することで避妊効果があるともされています。
なぜ避妊効果が得られるかというと、継続してピルを服用するとエストロゲンとプロゲステロンが増加し、排卵を抑制するからです。
そのため、受精の可能性もほとんどなくなり、高い避妊効果が期待できます。
避妊以外の効果
低容量ピルは避妊以外にも効果が期待できる作用があります。
その作用とは、女性ホルモンのバランスを整える作用です。
ピルを服用している間は、ホルモンバランスが整えられることで、基本的に規則正しく月経が起こります。
正しく月経を起こすことで、さまざまなメリットが出てくるので、月経にまつわるお悩みを抱えている方は参考にしてみてください。
そもそも月経とは?
月経とは、およそ一ヶ月の間隔でおこる子宮内膜からの周期的出血で、限られた日数で自然に止まります。
女性におこる症状で、妊娠のために、受精卵の受け入れ態勢を整えます。
しかし、卵子が受精しない場合もあり、その場合に不要になった子宮内膜が剥がれて身体の外に排出します。
この排出が月経であり、自発的に繰り返されます。
個人差はありますが、月経により精神・身体的な不調も引き起こされます。
避妊以外にメリット・デメリットはあるの?
低容量ピルには、女性ホルモンのコントロールの効果が期待できるとお伝えしましたが、具体的にどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
避妊以外のメリットとデメリットを順番に紹介します。
自分の悩みに当てはまるメリットがあるか、自分の身体的にデメリットが大きな影響を及ぼさないかなどチェックしてみてください。
低容量ピルのメリット
ピルを服用するメリットは、避妊以外には以下の3つに大きく分けられます。
・月経への効果
・各種病気の予防や改善
・その他トラブルの軽減
それぞれ具体例を詳しく解説していきます。
ピルを服用するか悩んでいる方は、ぜひ他のメリットもあわせた上で検討してみてくださいね。
月経への効果
まず、月経にまつわる悩みへの効果を具体的に解説します。
月経前後や月経期間中、以下のような悩みを抱えたことがある方も多いのではないでしょうか。
・月経不順
年代によっても異なりますが、30日前後の周期で月経周期が訪れていれば問題ありません。
ストレスや過度なダイエットなど、生理不順を引き起こす原因が自分の生活にないかどうかも確認しましょう。
・排卵痛
排卵日または前後1〜2日の間におこる腹部の痛みをさします。
排卵痛自体は一般的な症状ですが、あまりに痛みが強い場合は子宮内膜症の可能性があるため病院に相談しましょう。
・月経痛(月経困難症)
月経困難症のなかに月経痛(下腹部痛や腰痛など)が含まれています。
月経期間中におこり、その症状は下腹部痛や腰痛の他にも、吐き気や頭痛、食欲不振、疲労感などさまざまです。
他にもいらだちや憂うつなどの精神的な症状が出る方もいます。
・中間期出血
不正出血のひとつで、生理と生理の間(排卵期)に起こる出血です。
卵胞ホルモンの分泌が一時的に低下することが原因で、病気ではありません。
・過多月経
出血量が多い、または出血期間が長いと感じる場合は過多月経の可能性があります。
「日中ナプキンだともたない」「レバー状の血の塊がでることがある」「8日以上出血が続く」などの悩みがある方はピルの服用を検討してみてください。
・月経中の経血の減少
過多月経に対し、ホルモンバランスの乱れにより経血量が少なくなってしまう場合もあります。
・月経前症候群(Premenstrual Syndrome=PMS)
月経前におこる精神的、身体的不調をさします。
症状は幅広く、「小さなことでイライラして八つ当たりしてしまう」「眠気が強く集中力が続かない、寝ても寝た気がしない」というのが精神的な症状です。
身体的症状では、「肌が荒れる」「食欲の増減が激しく、甘いものを特に欲する」「むくみやすく身体もだるい」「腹痛、頭痛、腰痛が出る」などが挙げられます。
これらの悩みを解消、改善に導いてくれる効果がピルには期待されています。
過度なダイエットやストレスなどによるホルモンバランスの乱れにより、生理不順や月経がこない状態になる女性もいます。
他にも、旅行やイベントなどに月経が被らないように月経開始日のコントロールも、タイミングを見計らってピルを服用することで調整できます。
各種病気の予防や改善
ピルの服用は各種病気の予防や発症の可能性を抑えることにも期待されています。
以下が予防効果が期待される病気の一例です。
・子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮の内側以外の場所で月経周期に合わせて増殖します。
20〜30代、特に30代前半女性の発症率が高い症状です。
主な症状は、排便痛や性交痛などの痛みですが、不妊の原因の一つともされています。
・子宮筋腫
子宮の壁にできる良性の腫瘍で、特に大きな心配はありません。
しかし、肥大化すると過多月経による貧血や⽉経痛、頻尿・便秘・腰痛などが症状として現れます。
また、不妊・流産の原因となる可能性もあります。
・子宮体がん
子宮体部にできるがんで、不正出血、排便痛や性交痛などが自覚症状として挙げられます。
・卵巣がん
卵巣に発生する悪性の腫瘍です。
下腹部のしこりや強いむくみなどの自覚症状が挙げられます。
・大腸がん
大腸に発生するがんです。
血便や下血などの自覚症状が挙げられますが、がんが進行してからでないと自覚しにくい症状になっています。
・骨粗鬆症
体内のカルシウムが不足することにより、骨密度が減りスカスカになります。
スカスカになると、骨ももろくなり骨折しやすくなる危険性が高まります。
・関節リウマチ
高齢者に多いイメージをお持ちの方も多くいますが、女性に多いとされる症状です。
関節に炎症が続くと、変形したり動かなくなってしまったりしてしまいます。
・不妊症
妊娠を望み性交渉を行っていながらも、1年以上妊娠に至らない方をさします。
不妊症は女性の場合、女性ホルモンのバランスの乱れによるさまざまな不妊の要因が引き出される場合が多いです。
・更年期症
女性ホルモンの一種であるエストロゲンの減少が一つの要因として挙げられます。
肩こりや疲れやすさ、ほてりやのぼせなどの症状が挙げられます。
ホルモンバランスを整えることで、以上のような女性ならではの病気に対しても予防効果が期待できます。
その他トラブルの軽減
各種病気や月経以外にも、低容量ピルの種類によって尋常性ざ瘡やニキビの改善、多毛症の改善なども期待できます。
ホルモンバランスの乱れを軽減させるため、バランスの乱れからくるトラブルが起きにくい環境を整えてくれるのです。
低容量ピルのデメリット
対して、ピルを服用することでのデメリットもあります。
前提として、ピルを服用することでのメリットの方が大きいことをお伝えします。
そのうえで、メリットとデメリットを比較し、ご自身の体調に合わせてピルの服用を検討してみてください。
服用することで起こる副作用
ピルの服用をはじめた際に起こりうる、比較的軽い症状の副作用を紹介します。
以下で紹介する副作用は、ピルの服用を3ヶ月程度続けていれば自然に治るものがほとんどです。
・不正出血
・頭痛や下腹部痛
・胃のむかつきや吐き気
・下痢
・乳房の張り
・身体のむくみ
万が一、服用を続けても副作用が改善される見込みがない、という場合にはピルを処方してもらった医師に相談するようにしましょう。
各種病気のリスク
ピルの服用でリスクが高くなる可能性のある病気を紹介します。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンの作用により、血液が固まりやすくなることで病気のリスクが高まります。
リスクが高くなるとはいえ、そのリスクの増加は軽微なものとされています。
自分の身体の状態と照らし合わせるための参考にしてみてください。
・血栓症のリスク
血栓症とは、血液中に発生した血の塊である血栓により血管が閉塞され障害が発生する病気です。
もともとの発症の確率は低く、さらにそこから重症化する割合も低いとされています。
また、ピルの服用により血栓症が引き起こされる場合は、服用から3ヶ月以内程度です。
ピルを服用し始めてすぐに、血栓症の初期症状が出た場合は早急に医師に相談しましょう。
初期症状例としては、頭痛やめまい、ふくらはぎの強いむくみや痛み、手足がしびれる、胸の痛み、急な息切れなどが挙げられます。
・脳梗塞のリスク
脳梗塞は、脳の動脈が詰まる、または細くなることにより血液が循環しなくなり脳の細胞が壊死する病気です。
偏頭痛の方はより注意するようにしましょう。
・心筋梗塞のリスク
心筋梗塞は、心筋と呼ばれる心臓を動かす部分に、酸素が届かなくなることで血液が届かなくなり胸の痛みに襲われます。
また、上記の病気の発症リスク以外にも、長期的にピルの服用を続けると他の病気のリスクがやや高くなるとされています。
その病気とは、乳がん・子宮頸がん・悪性黒色腫などです。
大幅にリスクが上がるわけではないですが、長期的な服用を検討している場合は子宮頸がんの検診に定期的に通うようにしましょう。
低容量ピルを服用する前に知っておきたいQ&A
メリット、デメリットを読んだうえで、ピルの服用を前向きに検討している方も多いのではないでしょうか。
服用を開始する前に押さえておきたい、3つのQ&Aを解説します。
費用がどの程度かかるのか、自分はピルの服用にあたって問題はないかなどしっかりと確認しましょう。
低容量ピルを服用すると太るって本当?
ピルを服用すると太る、と聞いたことがある方もいますよね。
しかし、ピルの服用が直接的に体重増加に関係するという事実はありません。
では、なぜピルを服用すると太るという噂が流れたのでしょうか。
理由としては、ピルの副作用による食欲増進が挙げられます。
また、飲み始めの時期にはむくみやすさを感じる方もいるため、ピルの服用で太ったと勘違いする方もいます。
ピルの服用で必ずしも太るわけではなく、服用を継続することで強いむくみも軽減されていくので医師に相談してみてくださいね。
低容量ピルは保険適用に当てはまるの?
ピルはその目的によって保険適用になるかどうかが異なります。
避妊目的の場合には、保険適用外で自由診療となります。
しかし、月経困難症や子宮内膜症の治療を目的とし、医師にも治療が必要と判断された場合にのみ保険適用になります。
月経期間の度に身体に違和感を感じる方は、ぜひ一度クリニックで相談してみてください。
保険適用外の場合は診察費や検査費を含めた薬の費用を全額自分で負担しなければなりません。
しかし、服用を自由診療で服用する場合でも月に3,000円程度の出費と、費用対効果で考えるとお得に感じられますよ。
低容量ピルの服用が勧められない人はどんな人?
ピルの服用を推奨できない方もいます。
以下に当てはまる方は推奨できないため、注意してください。
・ピルでアレルギー反応がでたことがある
・35歳以上でヘビースモーカー
・妊娠中または妊娠の可能性がある
・血栓症状がある、またはリスクが高い
・子宮頸がんや乳がんがある(エストロゲン依存性のあるがん)
・肝機能障害や腎臓の働きが悪い
・高脂血症がある
・肥満体型
自分で判断ができない場合には、医師に相談したうえで服用を決めてくださいね。
ピルと上手に付き合っていく
本記事では、ピルのメリット・デメリットを中心に基本的な知識を解説してきました。
ピルは上手に利用することで、より普段の生活がストレスなく過ごしやすくなるメリットがあります。
「前向きに検討したい」「ピルに興味が湧いた」という方は、ぜひ一度クリニックで相談してみるのがおすすめです。